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実際に開業を経験したドクターの声をお届けする開業医のリアルストーリー VOL3
地元での開業にこだわって、2018年10月に、東京都台東区浅草に呼吸器内科を開業した「あさくさ田原町内科クリニック」の院長・阪口真之先生。家族や町会の人たちのサポートを得て、開業準備は順調だったようですが……。開業後、患者さんの心をつかむためにどのような努力をされているのか? 阪口先生に伺いました。
地元のニーズをとらえた上で、新規の患者さんへのアピールも欠かさない
――今後の展開はいかがでしょうか?
地元つながりの患者さんを大事にしつつ、今後は新規の患者さんも開拓しなくてはならないと思っています。大きなマンションの前に電柱広告を設置したりでしょうか。
また、季節ごとに罹りやすい疾患は異なりますから、HPやSNSで「こんな症状の方は診察にいらしてください」と告知して、患者さんを取りこぼさないようにしようと考えています。例えば6月から台東区の健康診断が始まっていますので、「年末になると健診が混雑するのでお早めに」と呼びかけています。
さらに、禁煙外来も私の得意分野ですが、今のところ患者さんの数が少ないため、SNSなどでもっとアピールして行こうと思っています。
――ズバリ、開業して良かったと思われますか?
はい。診察はもちろん、内装、広報、経営、待合室に置く本選びまで、全部自分で考え、動かして行くことにやりがいを覚えます。
これまで医局の仲間とわいわい飲み歩いて、週の半分は家に帰らないような生活を送っていたので、開業後は妻には「家とクリニックの往復だけになって物足りなくない? 大丈夫?」と心配されていました。
でも今は地元の仲間としっかり飲み歩いていますし、地域の人とのつながりが強くなった点もよかったと思っています。先日も町会の人に、「日曜日は休診でしょ。神輿担いでね」と言われました。もう一生逃げられないですね(笑)。
取材を終えて
一度は他の近隣エリアの物件も検討したそうですが、最終的には地元での開業を決断したという阪口先生。地元に暮らす家族や仲間など、つながりを生かして好調を維持している現状を考えると、「もしあのまま違う場所で開業していたら、今とは状況が違っていたかもしれない」とのことでした。
とはいえ、「地元の仲間でも、一度このクリニックはよくないと判断されたら二度と来てもらえない」と冷静な分析も。誰に対しても常に丁寧な診察を心がけ、今後は新規の患者さんに向けてもSNSなどでしっかりアピールして行きたいとのことでした。
(取材・文・写真 阿部桃子)