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クリニックの事業収支をケース毎に比較検討どうなる収入!

手取り収入の多寡につながるなぜ?を解説

FILE 05

可処分所得1500万超えを実現する、開業初期コストのかけ方比較
〜同科目、似た環境下の2つのクリニック。開業時の宣伝広告の見極め〜

ここまで6クリニックを3つの比較ケースでご紹介し、クリニック開業後の可処分所得(税引き後、事業借入返済後の手取り)1500万円獲得を早く到達するポイントを分析してきました。ご紹介した成功のケースはいずれも、コスト(費用)を抑え、収入をどう増やしたか、その取組みが3年後の可処分所得の開きにも大きな影響を与えていました。
今回注目するのは、コスト(費用)項目の「広告宣伝費」。 開業2年目で可処分所得1500万を超え成功ラインを手に入れた「Hクリニック」。初期コストを抑えたGクリニックより広告宣伝費に200万多くかけたにも関わらず、結果はGクリニックを倍上回る可処分所得を獲得しています。「コスト」はなるべく抑えてスタートを・・の定説は!?実際の2つのクリニックを比較し、ご確認ください!

Gクリニック、Hクリニック両方とも「郊外型医療モール」での開業です。
前編でご紹介するのは2つのクリニックの3年間の経営状況を表した表です。後編で2つの表を並べて比較してみますので、まずは「広告宣伝費」の数値に着目ください。
3年後の可処分所得の数値の開きにつながるヒントとなります。何かお気づきの点、おや!?と思う点はありますか?

page1 開業初年度の「広告宣伝」の考え方
page2 開業初年度だからこその有効的な「宣伝」の活用

2つのクリニックの経営状況・数値を紐解くと・・。

Gクリニック概要

Gクリニックは東京都郊外の私鉄駅から徒歩15分程の医療モールの3階フロアで開業した整形外科クリニックです。G院長は長年勤務していた大学病院で培った幅広い知識や経験を活かし、地域の方々の健康に寄与すべく開業を決意しました。

開業地はご高齢の方が多いエリアで、勤務医時代の先輩の勧めもあって郊外の医療モールでの開業を選びました。モール内にはGクリニック以外に内科・耳鼻咽喉科・歯科の開業が決定しており、他科の先生方と連携しながら、G院長が理想とする地域密着型の経営が行える場所と考えておりました。

◆開業後の推移

最寄りの駅からはやや歩くものの、医療モールという形態でもあり、自然に地域での認知度も高くなり患者数は増えていくものだろうと考えていましたが、当初の事業計画と比較するとその増加スピードは想定外に遅いものでした。

■経営数値 (金額単位:千円)

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◆開業3年後の可処分所得

広告面に力を注がなかったGクリニックは、開業初年度の可処分所得(経営数値表―P)がマイナスとなり、運転資金をセーブしたつもりが逆に資金を減らしてしまう皮肉な結果となってしまいました。医師会の先生方の勧めでホームページも大幅にリニューアルし、その後少しずつ広告も充実してきましたが、3年目を迎えても当初目標であった可処分所得1,500万円を達成することはできていません。


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Hクリニックは、東京郊外のJR駅徒歩8分の地域にある医療モール2階で開業した整形外科のクリニックです。H院長は大学病院で勤務の後、複数の関連病院で診療・手術・リハビリなどの臨床経験を多く積み、最後は医療法人の分院長として経営に携わる経験もしたのちに開業に踏み切りました。
開業地は出身大学病院近くにできた新設医療モールで、モール内には内科・眼科が入ることが決定しており、モール内連携は期待できる一方、すぐにその効果を求められないだろうとの認識でもありました。

◆開業後の推移

Hクリニックは、新設医療モールであることを意識し、広告による地域への認知度アップを重視してしっかり行った結果、開業初年より予定していた数を上回る患者さんに来院していただけました。さらに2年目以降は口コミによる増患サイクルが回り始めたことから広告手段を徐々に取捨選択し、より効果的な方法に集中することでさらに効果的な運営を実現できました。

■経営数値 (金額単位:千円)

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◆開業3年後の可処分所得

開業初年から事業計画を超える収入(経営数値―A)となり、2年目以降も右肩上がりに収入を増やしていきました。また広告費(経営数値―I)は開業初年に大きく発生しましたが、宣伝効果の分析を行っていたため、2年目以降は患者数を増やしながらも効果的な広告のみを残すことで徐々に支出を減少させていくことに成功しました。結果として初年より可処分所得(経営数値―P)はプラスとなり、2年目には目標の1,500万円を大きく上回る結果を残すことができました。

後編では、2つのクリニックを比較しながらクリニック誤算要因・成功要因、その結果 について解説します。

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