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クリニックの事業収支をケース毎に比較検討どうなる収入!
手取り収入の多寡につながるなぜ?を解説
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駅から10分テナント内科クリニック開業の行方
〜3年で可処分所得「95万」と「1500万超え」。その違いの戦略
駅から10分テナント内科クリニックでの開業。
前編でご紹介するのは2つのクリニックの3年間の経営状況を表した表です。後編で2つの表を並べて比較してみますので、まずは1クリニックずつの数値をざっとご覧ください。 何かお気づきの点、おや!?と思う点はありますか?
page1 | 2クリニックの経営状況・数値を紐解くと・・。 |
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page2 | この選択が分かれ道 |
2クリニックの経営状況・数値を紐解くと・・。
Aクリニックは、都下・最寄駅から徒歩約10分の地域にあるテナントビルで開業した内科です。
A院長がこの地での開業を決めた大きな要因の一つは勤務していた病院との距離がそう遠くなく、病院で診ていた患者さんの来院がある程度期待できる場所だという点です。また診療圏内には盛業している内科があるものの、専門が違うことからそれほどの影響を受けない場所だという調査結果を信じて下した開業の判断でした。
そのようなロケーションであることも踏まえ、Aクリニックの開業前の経営構想は当初から医療機器や内装工事には一定レベルのものを備え、地域の期待に応える診療体制を用意する、というもので、スタッフ体制もしっかり揃え、患者さんに選んでもらえる環境を準備しました。
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- 医療機器等のリース契約総額2800万円
- 内装工事・保証金・運転資金のための借入金総額4000万円
- 事務2名、看護師、検査技師各1名、他にパートを数名採用
- その結果、固定費は年間ベースで3700万円以上とかなりハードルの高いものとなりました。
◆開業3年後の可処分所得
開業後の2年間の可処分所得(経営数値表―P)はマイナスで推移し、3年目にやっと135万円の黒字に転換できましたが、可処分所得は95万円にとどまっています。幸いにして運転資金を厚めに準備していたこともあって資金ショートは起こさずに済みましたが、
資金繰りのストレスは大きく、開業に慎重だった奥様をなだめつつ協力を得ることの苦労に大変な思いを重ねたA先生でした。
Bクリニックは最寄駅から徒歩10分ほどのところに開業した一般内科のクリニックです。分類はテナント開業で地域以外は開業時期も含めAクリニックとよく似た環境といっていいでしょう。
ただ、建物は父親の所有物であることから家賃はかなり低額に設定されています。
物件の所在地は院長にとってなじみのある地域ではなく、いわゆる落下傘型の開業でした。したがって、当初の患者数は多くの新規開業と同様、決して順調なものではなかったといえます。
◆開業3年後の可処分所得
開業初年度こそ赤字となりましたが、2年目からは早くも1000万円を超える可処分所得を上げることができ、3年目で本シリーズで成功の目安としている1500万を上回る1830万円の可処分所得を獲得できています。勤務医時代の可処分所得は当直込みでおよそ1100万円であったところ、経済的な面では既に最初の目標をクリアしたといえます。
後編ではより具体的にAクリニックとBクリニックの可処分所得の差が生じた原因についてご説明していきます。