- 読んでよかった! 開業指南塾
- 開業に関する欠かせない情報が満載
開業ドクターから学ぼうみんなの本音
患者・スタッフ・家族...
開業医をめぐるそれぞれの本音とは?
FILE 008
スタッフの本音―返戻はなくて当たり前。多くても、月1〜2件程度です
鈴木さん(仮名)53歳の場合
内科と小児科を標榜するクリニックにお勤めの鈴木さん。
レセプトの返戻はほとんどなく、あっても毎月1〜2枚程度だとおっしゃっています。
しかし、以前お勤めだった別の内科のクリニックでは、毎月20〜30枚の返戻があったそうです。いったいどこに違いがあるのでしょうか?
医療事務スタッフとして、20年以上のキャリアを持つ鈴木さん。
現在お勤めのクリニックでは、返戻がほとんどないとおっしゃっています。
その工夫とは。
5年ほど前、今のクリニックに転職しました。
主人の転勤に伴う転職で、以前もほぼ同規模の内科に勤めていました。
最初に驚いたことは、返戻が少ないことです。
以前働いていたクリニックでは毎月20〜30枚は必ず返戻がありましたが、今はほぼゼロ。
たまに月に1〜2件あるかなという程度です。
なぜ、こんなに少ないかというと・・・そうですね。
基本的な入力ミスはほぼありません。
うちはまだ手書きのカルテなので、患者さんから保険証をお預かりして必要情報をパソコンに入力したら、必ずプリントアウトします。
出力すると入力をした人とは別のスタッフが、保険証との照合をして、大丈夫だったら右上のところに「マル印(○)」を入れています。
画面上でちゃんと確認したつもりでも、出力紙で見ると細かなミスが見つかることが意外と多いんですよ。
患者さんが多い日は大変だと感じることもありますが、こういう作業が大切なのだと思います。
実はまだ、レセプトも紙ベースで運用しているのですが、日常作業の中でのチェックを徹底しているので、レセプトチェックの期間だからといって遅くまで残業しなければならないということはほとんどありません。
月末はレセプトチェック用のシフトになっていて通常より1人多く勤務し、事務室の中で専任で作業を行っていますので、何か確認が必要な点があっても勤務時間中に解決できます。
残業がほとんどなく勤務できることは、主婦の私にとっては大変ありがたいです。
最近気がついたのですが、この紙ベースの運用がケアレスミスの発見に役立っているようです。
というのも、私が患者として通院している整形外科の話ですが、先生は私がどんな仕事をしているかご存知なので、先日診察の時にレセプトのことが話題になったんです。
そこの整形外科では、カルテもレセプトも電子化されているにもかかわらず、毎月400〜500枚のレセプトを全部出力して、すべてに間違いがないか、先生ご自身が確認をしているのだそうです。
以前はパソコンの画面上で確認をしていたそうですが、その時はケアレスミスを発見できず、返戻が毎月10枚前後あったのに、プリントアウトして確認するようにしたら、2〜3枚に激減したそうです。
「電子化したらペーパーレスにできると思っていたのに、全く違ったよ」と笑っておっしゃっていましたが、返戻を減らす効果があるのなら、経営的には大事なことですよね。
私たち医療事務スタッフは、経営と大きく関わっている大切な仕事をしています。
最初は深く考えずに始めましたが、続けていくうちに責任の重さを実感するようになりました。
レセプトのミスは厳禁です。
もしもミスがあれば、レセプトが審査支払機関から戻され、その分は入金されなくなってしまいますし、ミスが重なるとクリニックの収入にも影響しかねますからね。最終的に月次の内容の確認作業をするのは、医療事務の重大な任務。
この仕事を始めて20年経ちますが、レセプトをまとめる時は、今でも気合が入ります。この緊張感は、おそらくずっと続くのでしょうね。
返戻の理由は「事務処理上の不備」と「診療内容の疑義照会」の2つに大別されます。
ある調査では、
診療内容の疑義照会は25%で、残りの75%は事務処理上の不備による返戻ということが示されています。
ミスを完全に減らすことは不可能ですが、月1回でいい保険証確認を毎受診時に実施したり、本事例のように出力紙で確認したり、初期段階では間違っても、最終段階までには誤りを訂正できる体制づくりが重要なポイントといえそうです。
「以前勤めていたクリニックでは毎月20〜30枚は返戻があったのですが、今思うともっと改善できたはず」と話す鈴木さん。
後半では、鈴木さんが考える改善案についてお聞きしています。