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診療報酬の改定
- 2012年診療報酬改定の特徴
診療報酬改定と医院経営の関係について。
診療報酬改定が行われました。今回の診療報酬改定は地域医療における医療機関の位置づけと機能強化がテーマとなっているようです。プラスゼロ改定という誤差の範囲内での診療報酬改定はどのようなものなのでしょうか。医院経営における影響について説明したいと思います。
1.2012年診療報酬改定の特徴
今回の診療報酬改定は、急性期医療における病院勤務医などの負担軽減や医療介護の役割分担の明確化と地域医療の連携体制の2つの重点課題が中心となっています。また、がん医療やリハビリテーション、疾病や重症化予防の充実、医療の効率化といった課題が中心となっています。
2012年の改定率は、+0と言われるプラスであるが誤差の範囲内といった無理にプラスとしたような改定となりました。実際には、患者数の自然増分があるので国民医療費の増加は3%程度であると予測されます。
2.診療報酬改定と医院経営

診療報酬改定は、医療行為の価格の改定です。医院経営における売上が図1のように縦軸の価格(医療行為の単価)と横軸の患者数という2つの軸により説明すると診療報酬改定は縦軸に関係があることがわかります。もし、価格が下がったとすれば、患者数が増加しない限り売上は増加しません。
医院経営の視点としては診療報酬価格が上がり、患者数が増えると売上が増えますので、双方が伸びていくうちは安定的な経営が保障されます。
しかし、国民医療費が年々増加する現在にあっては、国の視点として国民医療費の支出が伸びないようにするために、価格の抑制か患者数を増やさないようにしなければなりません。そこで、診療報酬改定をマイナスとすることや予防により患者が増えない努力をしていくことが必然となってしまうのです。
因みに、診療報酬改定がマイナスになることを極端に嫌う医療業界は、経営が人材に依存しているサービス業独特の形態にあります。この医師や看護師という医療従事者という人材に依存してサービスを提供する経営構造は、費用を簡単に抑えることが出来ないため売上が維持できないということが赤字へと直結していくことにあります。これは、財務諸表にも支出する費用に占める人件費の割合が多いことにも表れています。
3.2012年診療報酬改定

診療報酬改定を見ていくに当たり、図2のように診療報酬点数を2つの視点で見なければいけません。診療報酬点数は、基本料金的性格の基本診療料と出来高的視点の特掲診療料に分けられます。これを独自に、毎日もしくは毎月きちんと収入を重ねることが出来る固定的な収入を「ホスピタルフィー的な収入」、患者によって違ってきてしまう収入を「ドクターフィー的な収入」としてとしてみていくことが病院や医院の双方にとって重要な視点なのです。

さて、今改定の特徴を説明します。改定は、プラス改定としていますが、ほぼゼロの改定率です。ゼロの改定ということは、プラスになる点数があれば、その分マイナスとなる点数もあるということになります。今回、手術を中心として大幅なプラスの点数があるため、この増分を吸収する点数が点在しています。
今改定の特徴は、図3のような診療報酬の各点数の分化がありました。ただし、この分化には特長があり、頑張ると点数が増加し、同じことをやっていると点数が下がります。これは介護報酬改定もこのような特徴があり、ある意味、マイナス改定であると言っても過言ではありません。
後半は、医院経営に影響を与えると考えられる診療報酬点数について説明します。