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開業準備「虎の巻」開業トレンド
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医療政策と開業トレンド(各論)
- 統計上は増加が止まった一般診療所数〜 その増加が天井を打つまでの医療制度改革とは?
2012年の診療報酬・介護報酬の同時改定は注視が必要。
前回、医療政策の大きな流れについて説明しました。今回は、この医療政策が実際の現場にどのような影響を与えているのか説明したいと思います。
統計上は増加が止まった一般診療所数
国に財源がない現在では、医療機関に万遍なく医療費を配分することができません。特に、2004年(平成16年)以降の新医師臨床研修制度導入後の医療崩壊と言われた病院受難の時代においては、病院に医療費である診療報酬を配分してきました。その結果、2007年(平成19年)まで増加傾向にあった一般診療所の増加も天井を打っています。

一般診療所の増加が天井を打つまでの医療制度改革等(表1)は、2000年の介護保険導入による医療依存度が低く長期入院となる患者の介護保険への移行、2002年の健康保険法改正では社会保険本人の負担増加とそれによる外来患者の減少、2003年には特定機能病院へのDPC(診断群分類による包括支払)の導入とそれによる一般病床の平均在院日数を下げる競争が始まりました。
2004年から新医師臨床研修制度が開始されたことによる病院における医師不足や大学医局の医局員減少、2006年は医療法改正による医療機能情報公開制度による患者が医療機関を選択するという大義名分のもとの医療機関を競争させること、2008年には後期高齢者医療制度という高齢者に特化した保険制度と中高年の生活習慣病予防の強化と疾病管理(Disease Management)が始まりました。2010年には政権交代があり、大きな変化はなかったが、診療報酬改定では救急などを中心として病院に重点的な配分が行われました。
医療制度改革等
年度 | 制度改革等 |
---|---|
2000年 | 介護保険導入 |
2002年 | 健康保険法改正 |
2003年 | DPCの特定機能病院への導入 |
2004年 | 新医師臨床研修制度 |
2006年 | 医療機能情報公開(医療法改正) |
2008年 | 後期高齢者医療制度(特定健診・特定保健指導)、自治体病院改革 |
2010年 | 民主党への政権交代 |
2012年 | 診療報酬と介護報酬の同時改定 |
表1 制度改革等
これから2012年の診療報酬と介護報酬の同時改定に向けて、診療所や病院がどのように扱われるのか注目する必要があります。