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広告ではなくPRを!クリニックの価値を高めるための戦略法
クリニック経営で一番大切なことは継続です。
院長が看板となり、クリニックの価値を高める上手なPR方法とは
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PRが失敗したドクター 赤池先生のケース
PRのつもりだったマスコミへの露出が……。
病院よりもマスコミ対応を優先
テレビや雑誌で取り上げられたことで、クリニックには新しい患者さんが押し寄せました。便秘に悩む芸能人もやってくるようになり、これまでクリニックに来ていた患者さんは、なかなか先生の診察を受けられなくなってしまったのです。
その結果、患者さんからの苦情が相次ぐようになりました。クリニックのスタッフは、そうした状況を改善するべく、赤池先生にマスコミへの露出を控えるよう、要望しました。 ところが、テレビや雑誌に出ることを楽しんでいた赤池先生は、聞く耳を持ちません。それどころか、週に1度、ラジオで「赤池先生の便秘外来」というコーナーが始まり、ますますクリニックには新しい患者さんがやってくるようになったのです。
もちろん新患が増えることはクリニックにとってはいいことです。けれど、そういうテレビや雑誌をみて、便秘外来にやってきた患者さんは、2~3回通うと、通院して来なくなる人が多かったのです。
やはり、遠方から来られる人が多いのと、効果があれば、あとは自分でアレンジしてやり始める、効果がなければ来なくなる、ということなのでしょう。
忙しいわりには、仕事にやりがいを感じられなくなったと、開業以来頑張ってくれたスタッフが一人辞め、二人辞めと、櫛の歯が抜けるようにいなくなり、スタッフは新人ばかりになってしまいました。
そうなると、クリニックの雰囲気や先生の人柄が気に入って通院していた患者さんは来なくなります。
加えて、世間から飽きられてきたのか、先生のマスコミへの露出も減っていきました。そして、数年後には、「昔よく、テレビとかに出ていた先生」と言われるようになってしまったのです。
現在、赤池先生はマスコミへの露出が減り、患者さんに向き合う時間ができたにもかかわらず、クリニックには患者さんは来ない、という悲しい状況になってしまいました。
一度落ちた評判を上げることは至難の業です。
大学時代の恩師からは、「初心に戻れ」と言われました。
赤池先生は、PRのためだったマスコミへの露出であったのに、いつしかスポットライトをあびることが目的となってしまった自身の行いを反省し、もう一度、一から患者さんとの関係づくりに励み始めたのです。
(エディター・キャリアコンサルタント:内田朋恵)