自分を信じて仲間を増やす

学会では相手にされなかった治療法でしたが、不治の病が治ったという事実は、患者さんらの口コミで徐々に認知されていきました。 それに伴い、医師からの問い合わせも増えていったのです。 「苦しんでいる患者さんのために、この治療の意義を認めてくれる仲間を見つけていこう」 患者さんからの紹介、医師仲間など、あらゆる伝手を使って、この治療法を広めるための勉強会を続けていきました。

そして山田先生のこの地道な活動が、一人の医学ジャーナリストの目にとまることになったのです。彼は、学会ではまだ異端扱いだったこの療法を、積極的に医学雑誌で紹介していきました。
気がつけば、山田先生を応援する仲間が全国に点在するようになっていたのです。この療法を始めてから２０年近い年月が経っていました。

７年前、山田先生は患者さんに後押しされて、自身のクリニックを開業、腎臓病治療の拠点病院として、全国から患者さんが押し寄せる病院になっています。
今では、山田先生が考案したこの療法はＩｇａ腎症の標準治療の一つになっていますが、いまだに医療機関によって取り扱いに差があるのも事実です。

「すべての患者さんに有効な治療法ではないからといって、認めないというのはおかしいと思ったから、地道な活動を続けていったんです。
結果、私に賛同してくれる仲間が増えて、それがこの治療法のいちばんのＰＲになりました。
多くの患者さんや医師に知ってもらえたことで、わざわざ私の病院に来なくてもこの治療を受けることができるようになったことは、本当に良かったと思います」

山田先生のクリニックには、先生の考えに賛同したスタッフが集まり、講演会などで飛び回る山田先生をしっかりサポートしています。もちろん、クリニック経営がうまくいっていることは言うまでもありません。
これも、自分の名声や利益よりも患者さんを第一に考える、という志をもって山田先生が行動した結果だと言えるでしょう。