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広告ではなくPRを!クリニックの価値を高めるための戦略法
クリニック経営で一番大切なことは継続です。
院長が看板となり、クリニックの価値を高める上手なPR方法とは
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PRが成功したドクター 2 嘉藤先生のケース
ニッチな領域で勝負する
どうやって通院させるか
こういう患者さんは、実はこの男性だけではありませんでした。痛風が起こると、多くの患者さんは治療を始めます。しかし、特に症状がある疾患ではないため、多くの人が治療を勝手に中断してしまい、また痛風になる、を繰り返していました。
キチンと治療をすれば、痛風に苦しむことはないのに……。治療を続けてもらう工夫ができれば……。
そこで嘉藤先生は病院長に相談し、「痛風・高尿酸血症外来」を開設してもらい、痛風・高尿酸血症のスペシャリストとしての人生が始まったのです。
- 痛風の治療というと、厳しい食事療法を想像しますが、嘉藤先生の食事療法は厳しくなく、続けやすいものでした
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- (1)
- 基本的に摂取禁止の食べ物はない、ただしカロリーは控えめにする
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- (2)
- アルコールは極力控える、どうしても飲みたいなら赤ワインを飲む
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- (3)
- ストレスをためない生活を心がける。ウォーキングや水泳などの軽い有酸素運動を続ける
さらに、薬の処方に関しては、遺伝子検査をして、尿酸が排出しづらい体質かどうかを見極め、体質に合った薬の処方をしていきました。そして、こうしたことを患者さん向けにパンフレットにまとめ、待合室に置いて読んでもらうようにしたのです。
診察では患者さんとよく話をして、それぞれの生活習慣を聞き出し、その人に合った治療を提案していきました。するとこれまで治療を続けられなかった患者さんの多くが、きちんと通院してくるようになったのです。
こうして嘉藤先生の「痛風・高尿酸血症外来」は口コミで評判を呼び、痛風患者の駆け込み寺になっていったのです。
数年後、嘉藤先生はご自身のクリニックを開業しました。もちろん「痛風・高尿酸血症」の専門クリニックです。クリニックでは、患者会を立ち上げ、痛風の仲間同士、協力しながら治療を続ける工夫を応援しています。
こうした先生の活動が地方新聞に紹介されたことがきっかけで、雑誌から取材の申し込みを受けるようになりました。その取材が縁で出版社から声がかかり、「痛風・高尿酸血症」の本も出版、名実ともに、スペシャリストになりました。
いまでは、企業から共同研究を持ちかけられたりもしています。
治療を続けてもらいたい、という嘉藤先生の強い思いが他にないクリニックを生み、口コミという最強のPRにつながったのです。
(エディター・キャリアコンサルタント:内田朋恵)