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広告ではなくPRを!クリニックの価値を高めるための戦略法
クリニック経営で一番大切なことは継続です。
院長が看板となり、クリニックの価値を高める上手なPR方法とは
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クリニックの売りを決定する(2)(失敗事例)
「3ヵ月待ち」を過信して失敗
アドバイスを無視して、開業準備を進めていくC医師を、Dさんは見守るしかありませんでした。 C医師はといえば、勤務医としてギリギリまで働いていたこともあり、クリニックの内装や家具の選定、スタッフの採用まですべて妻任せ。自分を見つめなおすキャリアの棚卸しもしないまま、とうとう自宅近くに内科胃腸科クリニックを開業してしまったのです。
最初は、「3ヵ月待ちのC医師の検査がすぐに受けられる」という口コミもあり、かつての勤務先の病院で予約を待っていた患者さんが、クリニックに押しかけました。
ところが、3ヵ月もすると、内視鏡検査の予約がまったく入らない日が出てきたのです。
「内視鏡の腕は落ちていないはずなのに、なぜだ?」
さすがのC医師も不安になってきました。
実は、C医師、かつての勤務先の病院では患者さんからの評判はあまり自慢できるものではありませんでした。
すばらしい技術の持ち主ですが、コミュニケーション能力に大きな問題があることを、本人はまったく自覚していなかったのです。
「3ヵ月待ち」といっても、それは内視鏡検査だけであって、実際にC医師が受け持っていた患者はその中の1割にも満たなかったのです。
内視鏡の技術に頼りすぎたことで、自分の弱みを自覚することができず、また、理想のクリニック像もないままに開業してしまったことが、患者のニーズとはかけ離れた医療となってしまったのです。
開業後もDさんは、「何か困ったことがあったら相談してください」と言い続けました。そして、患者さんの数が減っていくクリニックの現状を見ながら、C医師の気づきを待ち続けたのです。
開業から半年後、C医師からDさんに「ご相談したいことがあるのですが」と電話が入りました。クリニックには閑古鳥がなき、スタッフも辞め、銀行に借りた開業資金の返済も厳しくなっていたのです。
それからのC医師はDさんの助言を素直に聞き、遠回りに見えるキャリアの棚卸をしました。そして、自分の強み、弱みを再確認し、内視鏡検査&手術の高い技術の提供と、患者さんのQOLを考えた医療を目指すクリニックに生まれ変わることができたのです。
次回は、クリニックを成功させるために本当に必要なことは何かについて、事例をご紹介しながら考えていきましょう。
(エディター・キャリアコンサルタント:内田朋恵)