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広告ではなくPRを!クリニックの価値を高めるための戦略法
クリニック経営で一番大切なことは継続です。
院長が看板となり、クリニックの価値を高める上手なPR方法とは
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クリニックの売りを決定する(2)(失敗事例)
前回は、医者としてのキャリアの棚卸しに成功したB医師を紹介しました。 勤務医ではできなかったことをやりたいという強い志(こころざし)があったからこそ、一見非効率な“患者さんにじっくり向き合う”という売りが花開いたのです。 今回は、いい加減にキャリアの棚卸しをやった結果、自分の価値をはっきりと見極められなかったC医師の事例を紹介します。
勤務医としては、たいへん優秀だったが……
C医師は、大腸内視鏡の専門医として地域の基幹病院で活躍していました。
その病院では、「痛くない内視鏡検査が受けられる」と、C医師の内視鏡専門医としての腕を売りにしており、C医師の検査はつねに3ヵ月待ちの状態でした。
そんなC医師は消化器内科医長として、それなりの待遇を受け、思う存分、腕を振るっていましたが、自分を指名してくれる患者さんの多さに、「消化器内科を開業したら、きっとたくさんの患者さんが来てくれるに違いない」と考え始めました。
ちょうどその頃、医学部時代の友人が実家に戻ってクリニックを開業し、成功を収めていたこともあり、次第に「クリニック開業」を意識するようになりました。
勤務医として、やれることはやりつくしたと考えていたC医師は、早速、その友人から腕利きの開業コンサルタントDさんを紹介してもらい、開業準備を本格化させたのです。
自分の弱みがわかっていなかった
開業コンサルタントのDさんとの最初の打ち合わせで、「先生の理想とするクリニックとはどのようなものですか?」という質問を受けたC医師は、これまでそんなことを考えてこなかったことに初めて気づきました。
ところが、自宅近くにいい物件が見つかると、「理想のクリニック像がはっきりするまでは、場所選びはできませんよ」とDさんから言われていたにもかかわらず、とっとと契約を結んでしまったのです。
その後もDさんは、C医師に「医師としてのキャリアの棚卸しをして、自分の強み、弱みを自覚してください」と言い続けましたが、「私の強みは、内視鏡の技術にきまっているじゃないか! 弱みなんてないし、棚卸しなんか必要ない」と、Dさんの助言をまったく聞かずに、妻と二人でどんどん開業準備を進めてしまったのです。