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広告ではなくPRを!クリニックの価値を高めるための戦略法
クリニック経営で一番大切なことは継続です。
院長が看板となり、クリニックの価値を高める上手なPR方法とは
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クリニックの売りを決定する(1)
- 前回まで4回にわたって医者としてのキャリアの棚卸をやってきました。
- すっかり忘れていたことを思い出して嫌な気分になった方もいるでしょうし、逆に医者になった初心を思い出して、クリニックの開業に向け気持ちが引き締まった方もいるでしょう。
- キャリアの棚卸は、正直にやればやるほどつらい作業になります。
- けれど、そのつらい作業をやることで自分の強みを自覚することができるのです。
小さなことでも差別化になる
棚卸の結果、なぜ医者になりたいと思ったのか、医者としてのこだわり、患者さんに対してのモットーなど、ご自分の特徴が見えてきたと思います。
次にやることは、どんなクリニックを開きたいか、というクリニックに対しての先生ご自身でのこだわりを見つけることです。
棚卸で書き出したことの中から、他人によって評価されたことや数字で評価できること――同僚や先輩、上司から褒められたり助けを求められたりした経験、患者さんから感謝されたこと、先生が提案して行った院内改善で効果があったことなど――に〇をつけてください。
加えて、これまでの勤務先ではできなかったことで、ぜひやってみたいことを書き出してください。
それらが、医者としての先生ご自身の特徴であり、強みになります。
たとえば、勤務先の大学病院では3分診療が当たり前で、患者さんとゆっくり話すことはできなかった。だからゆっくり患者さんの話を聞いてあげられるクリニックにしたい、という非効率な望みでも、クリニックの差別化になるのです。
非効率な望みが利益を生むことも
地方都市の拠点病院に勤めるB医師は、診察が長いことで上司からはいつも注意を受けていました。
そんなこともあり、開業したクリニックでは、ゆっくり患者さんの症状を聞き、患者さんを第一に考える、をモットーにしたのです。
それはB医師が医師を目指したときの志(こころざし)でもあったからです。
B医師のクリニックでは、最初に看護師が患者さんの症状を細かく聞いてメモします。
あるとき、胃の調子が悪いと40代の男性がやってきました。看護師がていねいに話を聞くと、1カ月半くらい前から胃の調子が悪く、いくつか病院に行ったが症状が改善しなかったので、仕方なくそのままにしておいた。
ところが2~3日前からさらに調子が悪くなってきた。B医師のクリニックは4軒目だというのです。
そのメモをみたB医師は、胃の不快症状だけでなく、他に気になる症状はないか、さらに詳しく問診を行っていくことにしました。