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広告ではなくPRを!クリニックの価値を高めるための戦略法
クリニック経営で一番大切なことは継続です。
院長が看板となり、クリニックの価値を高める上手なPR方法とは
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医者としての棚卸をする(1)
キャリアの棚卸で、研修医時代の気持ちを思い出す
ここで、キャリアの棚卸をやって、成功したA医師を紹介します。
A医師は、病理の研究員として、家庭を犠牲にして大学の医局でキャリアを積んでいましたが、離婚をきっかけにワークライフバランスの大切さに目覚め、転職、開業を考え始めました。
ところが、すでに30代半ば。今さら病理医以外に何ができるのか。
そう考えたA医師は、何日もかけて自分のキャリアの棚卸をやっていきました。
最初は、直近の仕事に引きずられ、病理の経験しか書くことがなく、投げ出したくなることもあったそうです。
しかし、仕事だけに振り回されない人生を送りたいという強い思いがあり、学生時代のノートや研修医時代の手帳を引っ張り出して、一つ一つ振り返っていきました。
すると、病理医になると決めたきっかけが、ほんの些細なことだったことを思い出したのです。
――当時は消化器の治療に興味があったので、内科医になるつもりでした。ところが、病理医になるなら海外に留学できるぞ、と先輩に言われて、病理医になると決めたのです。
一生の仕事だと思っていた病理医の仕事も、海外留学したいから決めただけだったということを思い出したことが、セカンドキャリアを見つけるきっかけになりました。
そして、「病理医の経験を活かし、がんの早期発見と治療に強みを持つ内科医になる」と決意。地域の拠点病院で臨床医としてのキャリアを積み、4年後に無事開業を果たしました。いまは新しい家族とともに、ワークライフバランスのある生活を送っています。
どんな小さなことでも書き出してみる
キャリアの棚卸は直近の仕事に引きずられがちです。
でも、それに引きずられているうちは、近視眼的にしか自分を見つめられないので、なかなか本当に自分がやりたかったこと、やりたいこと、自分の強みなどは見つけられません。
A医師のように、昔の手帳やノート、写真、メールなど、過去に自分が考えていたことがわかるものならなんでもいいですから、引っ張り出して見返してみてください。
過去の自分を振り返ることは、決して楽しいことばかりではないですし、時間と手間のかかる作業ですから、長めの休みなどを利用してじっくり取り組んでみるといいでしょう。
そして、箇条書きでいいので、とにかく何でも細かく書き出してみましょう。
次回は、書き出したことからどんなことが見えてくるか、見つめ直し方をお話します。
(エディター・キャリアコンサルタント:内田朋恵)