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実際に開業を経験したドクターの声をお届けする開業医のリアルストーリー VOL4
女性に人気の街、自由が丘駅のほど近くで今年5月に開院したのが「自由が丘ちあきレディースクリニック」です。院長の飯塚千祥先生は、大学勤務と子育てを両立させながら開業の準備をしました。その過程で直面した壁や解決策、開業後の手応えなどをうかがいました。
条件のいい物件に出合い、即決! 半年早い開業に
――ここを開業の地に選んだ経緯を教えて下さい。
自宅がこの東急線沿いにあるからです。
急行が停まる自由が丘駅にこだわっていたわけではありません。そんな希望が言えるほど、この辺は物件が多くないんですよ。
いくつか物件を見に行っているうちに、ここを紹介されました。たまたまキャンセルが出たそうです。「これだ!」と即決しました。
――決め手は何だったのでしょうか。
自由が丘という大きな駅の、徒歩4分という便の良さと、周囲の環境ですね。繁華街から1ブロック入った住宅地なので、落ち着いた雰囲気です。
実は入居の条件に、「5月の開業」というのがあったんです。私としては、医局を辞める時期の関係で、開業のタイミングはもう半年くらい後のほうが都合よかったのですが、この場所を逃す手はありませんでした。
――入居後の立地面での手応えは?
満足しています。患者さんも真面目な方が多いという印象ですし、自由が丘は通勤者も多いので、遠方にお住いの患者さんも多く来てくれます。交通の便がいいので、スタッフの中には神奈川県や埼玉県から通っている方もいます。
――スタッフの募集はどのようにされたのですか?
求人雑誌に募集告知を出しました。1回の掲載で30人弱の応募がありました。
やはり2路線使えて急行が停まる駅という通勤のしやすさもあって、応募が集まったのだと思います。私は女性医師として女性に活躍して欲しいと思っていますので、できるだけ正社員か、それに近い形で働いて欲しいこと、正社員には社会保険を完備することを募集告知に明記しました。それも人が集まった要因の1つだと思います。
応募者のうち10人くらい面接し、8人を採用しました。看護師も事務スタッフも患者対応がよく、しっかりしているので助かっています。
今は1日に10~20人の患者さんが来られます。3分の1は、以前勤めていた大学病院から紹介された、がんのフォローアップの患者さんです。
また当院では子宮頸がんの精密検査ができるので、医師会を通じて当院を知った近隣のクリニックや大学の先輩のクリニックなどからの紹介もあります。
残りの3分の2は、地元の患者さんです。まだ開業して間もないので、ほとんどが初診の患者さんです。初診の場合は必ず診察をするので、1人の患者さんに時間がかかります。ですから、患者さんの数は今ぐらいがちょうどいいと思っていますし、その患者数に対して、スタッフの数もちょうどいいですね。産休などで1人抜けてもカバーできる体制になっています。
――開業はどうやって告知されましたか?
ホームページを立ち上げたのと、開業の前々日に開催した内覧会の案内も兼ねて、開業の前の週に新聞の折り込み広告を1回出しました。
開業してみると、若い患者さんの多くは、口コミかホームページを見て来られるようです。反対に、年配の方の多くは新聞広告を見てくる。私たちは、思春期から高齢期まで幅広い女性に来て欲しいので、両方で告知してよかったと思います。
――電柱広告は出されていますか?
近くの学校の周辺に貼り出す予定で、ちょうど今、準備をしているところです。
ヒトパピローマウイルスのワクチン接種もあるし、やはり10代前半の女性に婦人科を身近に感じて欲しい。ですから小中学校の周辺で告知していきます。
次回へつづく
明確なビジョンと物件を即決した思い切りの良さで、理想のクリニックを実現されているようです。引き続き、内装面や診療体制の工夫、そして開業して2か月が過ぎた今の手応えについて後編でうかがっていきます。