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開業前の知識医院開業物件の契約のポイント
the医院開業の医院開業物件契約のポイント解説。気に入った医院の賃貸物件契約の締結には様々な注意点があります。後でこんなつもりではなかった、とならないようくれぐれも物件契約に関して知識を得ておくことが非常に大切です。
医院開業物件の契約のポイント
ここでは、医院開業物件の契約時に覚えておきたい基本的な事項(賃貸契約や賃料、共益費等)であり、且つ非常に大切な事柄を解説します。
よくある賃貸契約パターン(定期賃貸借と普通賃貸借)
- 医院などの事業用建物賃貸借契約の形態は大きく分けて
- 定期建物賃貸借契約
- 普通建物賃貸借契約
- 大型ビルは定期建物賃貸借契約のケースが多いですが、最近は、診療所向けの中小ビルでも定期建物賃貸借契約が増えてきています。
- 両者の違いですが、定期建物賃貸借契約は多くの点で、オーナーである賃貸人に有利な内容となっていますので注意が必要です。
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定期建物賃貸借契約の持つ賃貸人に有利な点
- 契約期間が満了しても更新されることはなく、契約は終了する(再契約の合意が成立した場合にのみ再契約となる)
- 特約がない限り中途解約ができない
- 中途解約しても賃借人は残存契約期間分の賃料相当額等を支払う義務がある
- 特約があれば賃料の減額請求を拒否できる
- 上記の通り定期建物賃貸借契約は賃料収入の将来見込みが明確に出来るというメリットから、不動産ファンド等がオーナーである場合、事業用建物のテナントで広く使われるようになってきています。
- 賃借人としては、定期建物賃貸借契約の上記特性をよく理解することがトラブルを未然に防ぐコツとなります。
賃料等交渉のポイント
賃料
- 賃貸人から提示される賃料は絶対的なものではありません。
- 交渉次第によっては安くなることはあります。
- その際のポイントは下記のようなものですが、実際は不動産仲介事業者を介して交渉することになりますので、担当者と良好なコミュニケーションを取ることが重要となります。
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賃料交渉のポイント
- 近隣相場を調査して対象物件が相場より高ければ相場並の賃料にしてもらう
- 長期間空室となっていれば交渉の余地あり
- フリーレント(ビル入居時に当初の数ヵ月間の賃料を無料にする)が設定できないか
- 傾斜家賃(契約年数に比例して家賃を上げていく)の提案をしてみる
- 賃料以外の共益費、敷金についても交渉してみる
- 医院の新規開業の場合、勤務先を辞めて実際に開業するまでに数ヶ月間のタイムラグが生じます。
- いい物件は早く押さえる必要がありますが、実際の開業よりも早く物件を押さえると、当然その間は賃料負担があります。
- こういった場合は、フリーレント(賃料の免除期間)を希望して設定することで、なるべく無駄な賃料を払わなくてもいいようにうまく交渉することも大切です。
共益費
- 共益費とは共用部分および共用施設の維持管理のための費用です。
- 共益費を支払うことで受けられるサービス内容は以下のとおりです。
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共益費で受けられるサービス
- 共用部分(エレベータ、ロビー、エントランスホール等)の利用
- 共用施設(エレベータや受電設備、消防設備等)の維持管理
- 共用部分の清掃および照明の維持管理(電気代含む)
- 建物の外部清掃(窓ガラス、タイル)
- 室内の空調機の維持管理(フィルター清掃など)
- トイレ、水回りの清掃(ペーパーの補充等)
- ゴミの事業者契約費用(契約により異なる)
- 実際には契約するビルの大きさ、管理体制などによって、サービスの範囲は異なりますので、契約前に確認をして下さい。
手付金
- 契約そのものとは関係ありませんが、契約に必要となるものに「手付金」があります。
- 手付金とは、賃貸借契約を結ぶ際に賃借人が賃貸人に支払う金銭で、いわば仮押えのために払うものです。
- その金額は敷金(保証金)の1割~2割相当額であることが多いようです。
- 手付金を払うかどうかについては慎重な判断が必要です。
- なぜなら手付金はいい物件を早く押さえるためには必要となる一方で、もしその後で別のいい物件が出てきた際に最初の物件を断ることになります。
- その際に最初に支払った手付金は戻ってきません。
- 医院の場合、契約してから実際の内装工事に入るまで時間がかかるケースが多いので、なおさら慎重になる必要があります。
- 法律上、手付金には次のような意味があります。
- 「賃借人が契約成立から入居予定日までの間に契約を解約するためには、手付金を放棄しなければならない。賃貸人が契約成立から入居予定日までの間に契約を解約するためには、手付金を賃借人に返還するだけでなく、それと同額の金銭を賃借人に支払わなければならない。」
- つまり手付金は、貸主借主の双方に当初の意思と反して契約締結を反故にした場合において罰則的な意味合いを含んでいます。
敷金(保証金)
- 敷金(保証金、以下単に「敷金等」といいます)とは、賃貸借契約の担保(主に賃料支払いの担保)として、賃借人が賃貸人に預託するものです。
- 敷金等で確認すべきポイントは次の4点です。
- 金額は適正かどうか?
最近の事業用物件の契約では賃料の6カ月分~15カ月分を敷金(保証金)として設定しているようです。 - 返還時期は明記されているか?
契約の終了時に原則敷金は返戻されますが、返戻される時期は契約書によって様々です。
まれですが、解約(明渡し)時から6ヶ月後など、賃借人にとって不利な条項もありますのでしっかり確認してください。
- 金額は適正かどうか?
- いずれにしても、契約書に返戻の時期が明文化されていることがトラブル防止のポイントです。
保証金について
- 保証金の場合には、建設協力金、権利金などといった、敷金とは別の意義も含まれている場合がありますので、確認が必要です。
- 実質が建設協力金であれば賃貸人に対する金銭の貸付であり、権利金であれば賃貸人に対する金銭の贈与(礼金と同義)となります。
償却について
償却とは、時間の経過に伴って生じる建物の減価(物理的・機能的に価値が下落すること)に応じて、敷金(保証金)の一部を賃貸人が徴収することです。償却がある場合のポイントは次の2点です。
- 償却の時期と割合
償却は解約時に1回というのが普通です。その割合は敷金の10%から20%、または賃料の1カ月分から2カ月分などです。
ただし、中には毎年10%償却という契約もありますので確認する必要があります。 - 償却と原状回復費との関係
償却ありの契約の場合、原状回復費用との関係を確認しておいた方がトラブル防止になるでしょう。
償却があっても原状回復費は別途請求される場合もあるからです。
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FILE 005 | 物件契約のポイント |
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