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ジェネリック医薬品の品不足解消のめども立たないうちに、先発薬に対して増える患者負担


(2024年1月) 

医療従事者の報酬大幅増を要求する厚労省と医療費の膨張を防ぎたい財務省の診療報酬改定をめぐる攻防は、昨年12月15日、首相裁定で決着しました。
これにより来年度の診療報酬は、医療従事者らの人件費に回る「本体」を0.88%増やす一方で、薬の公定価格「薬価」などは1.00%引き下げられ、診療報酬全体の改定率はマイナス0.12%となることが決まりました。

先月の気になる医療ニュースでも書きましたが、財務省は、診療所の儲けは過剰でありそれを医療スタッフの賃上げに充てるべきと主張していましたが、今回は厚労省側の要求がほぼ通り、看護職員、医療関係職種、40歳未満の勤務医などが賃上げされることになります。

新たな患者負担も始まります。ジェネリック(後発医薬品)がある特許切れの先発医薬品は、来年10月から原則、後発薬との差額の25%が保険適用外となり、患者の自己負担となります。*1   

国は、より安価な後発薬への移行を促すことで医療費を抑制したい考えですが、後発医薬品の供給不足が続くなか、あえて先発薬を選ぶ患者さんもいます。
そういう患者さんに対して、「医療上の必要がある場合」や「後発品が入手困難な場合」には特別負担はもとめないことは、11月29日の第171回社会保障審議会医療保険部会で意見が出され*2    、その内容は12月8日の第172回社会保障審議会医療保険部会でも確認されており、最終的にどの程度の患者負担になるか注目されていました。
結果として、対象となる先発医薬品は発売から5年以上が経過したものか、後発薬への置き換えが50%以上進んでいる先発薬で、「差額の25%を保険適用外」とすることに落ち着きました。

実際の患者負担額は、薬価が先発薬500円、後発薬250円の場合は、自己負担は先発薬200円(現行150円)、後発薬75円(現行75円)となり、50円の負担増となります。*3 

こうして削減された医療費は、医薬品の「イノベーションの推進と安定供給確保」のために使われるようですが、多品種を安価に製造しなければならない後発品メーカーの産業構造上の問題をクリアしないかぎり、薬の安定供給は測れません。

医療保険部会(第170回)でも、医薬品の安定供給の確保のためには、薬価の下支え策のあり方(基礎的医薬品、不採算品再算定など)、安定供給が確保できる後発品の企業要件の導入と企業要件に応じた薬価上の措置のあり方、安定供給強化に向けたサプライチェーンの強靱化、が主な検討課題として挙げられています。*4 

たびたび問題となる海外とのドラッグ・ラグやドラッグ・ロスを一日も早く解消していくためにも、今回の負担増により得られた予算を有意義に使ってもらいたいものです。

(文責:ブランディング・エディター 内田朋恵)


*1「「経済財政運営と改革の基本方針2023」等関連事項について」令和5年11月29日 第171回社会保障審議会医療保険部会 資料2   30P目参照 

 *2「「経済財政運営と改革の基本方針2023」等関連事項について」令和5年12月8日 第172回社会保障審議会医療保険部会 資料1 2P目参照 

 *3「「経済財政運営と改革の基本方針2023」等関連事項について」令和5年12月8日 第172回社会保障審議会医療保険部会 資料1 13P目参照 

 *4「「経済財政運営と改革の基本方針2023」等関連事項について」令和5年11月9日 第170回社会保障審議会医療保険部会 資料2 

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