- 開業に関する欠かせない情報が満載
患者満足度を上げるためにできること
患者指向の経営のために行われる患者満足度調査。
その数値が上がると医療現場にどんな効果があるのでしょうか?
EPISODE 00
患者満足度を上げることは、本当に医療経営に役立つ?
病院にも導入されるマーケティング調査
2015年に厚生労働省が公表した「保険医療2035」*1はご存じですか?
これはいまから約10年前、「急激な少子高齢化や医療技術の進歩など医療を取り巻く環境が大きく変化する中で、2035年を見据えた保健医療政策のビジョンとその道筋を示すため、国民の健康増進、保健医療システムの持続可能性の確保、保健医療分野における国際的な貢献、地域づくりなどの分野における戦略的な取組に関する検討を行うこと」を目的として、厚生労働省が開催した「保健医療2035」策定懇談会の結果をまとめた提言書です。
この提言書に書かれた目標は「人々が世界最高水準の健康、医療を享受でき、安心・満足・納得を得ることができる持続可能な保健医療システムを構築し、わが国及び世界の繁栄に貢献する」ことであり、そのなかには「量の拡大から質の改善へ」「インプット中心から患者にとっての価値中心へ」「キュア中心からケア中心へ」といったキーワードが示されています。
この10年前の提言にそって日本の医療改革が行われた結果、医療現場はデジタル化が進み、患者中心の医療に変わっていきました。そしてコロナ禍を経て、ますます患者サービスの視点、患者満足度が重要になってきています。
では、患者満足度とは何でしょうか。
顧客満足度(=CS、Customer Satisfactionカスタマー サティスファクション)という言葉はご存じだと思います。今や商品開発やマーケティング、セールスの現場ではなくてはならない指標です。簡単に言えば、この考えを医療現場に応用したものが患者満足度で、欧米ではすっかり定着した指標になっています。
いまではどの医療機関でも患者満足度調査がなされ、患者指向の経営になっています。
では、この数値が上がると医療現場にどんな効果が見込まれるのでしょうか。患者側にも医療者側にもどのような変化が起こるのでしょうか。本当に患者満足度を上げれば、この提言書に書いてあるような持続可能な医療システムの構築は可能なのでしょうか。
病院にマーケティング調査は必要なのか、探っていきたいと思います。
(2024年10月 the医院開業事務局)
参考文献
*1 「保険医療2035」