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開業後の診療所経営について具体的ケースを検証し
経営改善につながる対策を『処方箋』として解説します。

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医療モール内の連携強化

全体がプラス効果へ転換する連携体制とは?ー問題点に対する処方箋

クリニック側が主導しモールを動かすことで、どんな効果が…?


問題点に対する処方箋

1.E眼科の問題点

話の様子では、同じモール内のTクリニックの経営状況も順調とは言えず、T院長も頭を悩ませていました。しかし両院長の共通の認識は、まず診療所同士が連携を深め、その上で患者さんが抱くモールへの期待に応えることが全体の増患に繋がるのではないかというものでした。

2週間後、両院長はじめモール内の他の院長と調剤薬局、それに当モールの立上げを担当したコンサルタント会社の担当者を交えた話合いが行われ、共通の認識を持って医療モールの運営に協力することがについて合意がなされ、さらに役割に応じた対策がとられました。

まずコンサルタント会社は次の四項目に取り掛かりました。

  1. 患者に関する調査・分析と対策立案(個人情報保護に留意) (来院動機、患者住所、年齢、性別、再来率 など)
  2. 患者満足度調査の実施
  3. 職員合同研修の実施
  4. 調査結果に基づく宣伝広告の見直し

また医療機関側は、「糖尿病セミナー(内科・眼科)」など共催可能な診療科で無料セミナーを開催することにしました。同様に調剤薬局においても「医療用医薬品の服薬について」や「医療用医薬品と食品の相互作用」などについてのセミナーをはじめました。

 

また、日々の診療においても専門医における定期検査を推奨するなど、医療そのものにおける連携も今まで以上に進みはじめています。

2.改善策の実施内容

共催セミナーはまず眼科(E院長)と内科(T院長)とで「糖尿病セミナー」が開催されました。患者さんとそのご家族で12名もの参加があり盛会といってよいでしょう。

セミナー終了後、参加者の声を聞いてみると、「症状は出ていないが関連が良く分った」、「生活上の注意を励行したい」、「定期検査を受ける」など高い評価と効果を得ることができました。また、疾患にはよるものの複数科の専門医(科)が存在するモールへの期待が高まったことも大きな成果といえます。その後も他の医療機関とのセミナーが共催されていますが、各診療所と調剤薬局はポスターの貼付や口頭での案内など極めて協力的な体制が作り上げられています。

2ヵ月後に結果が出た“患者動態調査”の内容は、直近の町丁別人口密度と患者さんの住所をリンクされたものであり極めて説得力のあるものでした。この調査結果を踏まえた定例の話合いでは、認知度アップと利便性のアピールを目的として駅構内に共同の看板を新設することになりました。作成費用は60万円、月次の管理料は7万円の見積りでしたが、各施設の負担はそう大きな額ではないことから直ちに設置されました。

他に電柱広告の設置場所と本数の見直しをすると共にモール並びに各診療所のホームページに携帯電話版機能を持たせるなど、広告の効果がきちんと生かせるよう改善がなされました。

その後セミナーの開始と広告の見直しから4ヶ月が経ち、Eクリニックの患者さんは徐々に増えて平均40名ほどまでになっており、その傾向は各診療所も同様の結果が出てきました。また問診票に新たに付加えられた“来院理由“には、家族や友人の紹介の他、「医療モールが便利だから」「○○先生に紹介されて」の言葉が目立つようになり、「患者さんから選ばれる医療モールを構築し、増患につなげること」という当初の目的が達成されつつある状況といえそうです。

総括

医療モールは個々の診療所の集合体ですが、同じフロアにあるなど、一体化した経営形態を強みとして生かせるメリットが本来はあるはずです。ところが良好な連携ができず、むしろお互いの力を消し合うかのような関係すら見受けられることもあり、クリニックのポテンシャルを発揮できない形態になってしまうリスクもあるのが現実です。

そしてそれに対し、一般には開発に係ったコンサルタント会社や調剤薬局などがマネージャーとしてその調整役を担うことが多いのですが、本事例は経験不足と力不足が対応を遅らせてしまったケースでもあります。ここでクリニック側が人任せでなく、自らが主導しモールを動かすことで、全体がプラスの効果を持つ形に転換することができればその差は非常に大きなものになるといえます。

乱立気味の医療モールではありますが、入居する各施設が運命共同体であることを認識し、患者さんの期待に応えることが存続発展の重要なポイントといえるでしょう。

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