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開業ドクターから学ぼうみんなの本音
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開業医をめぐるそれぞれの本音とは?
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スタッフの本音―医療事務の資格ない私でも、医療事務が務まる理由
本郷さん(仮名)43歳の場合
かかりつけにしていたクリニックの医師に、医療事務のスタッフとして働かないか、と声をかけられた本郷さん。
医療事務の勉強をしたことがないにも関わらず、それでもいい、という条件で働き始めました。
現在、働き始めて8年経つとおっしゃる本郷さんに、開業前に押さえておきたい医療事務の現場についてお話しいただきました。
かかりつけにしていたクリニックの医師に声をかけられ働き始めた本郷さん。
医療事務初心者から働き始めて8年。医療事務の仕事が勤まる理由とは…
8年前、家族全員がいつも診ていただいていた内科の医師に、「よかったら受付の仕事をしてみないか」と声をかけられました。
医療事務は難しい仕事と思っていましたから、先生に「何か勉強をしたほうが良いでしょうか?」とお聞きしたら、「大丈夫ですよ。一緒に働いている人に聞けばできますから」というお返事をいただき、勤務することになりました。
レセプトが手書きからパソコン入力に変わる時期だったことが幸いしました。
パソコンが全くできないと苦労したと思いますが、メールやインターネットなど一通りのことはできていましたので、日常業務に困ることはなかったです。
最初は何の問題もなく始めたこの仕事ですが、実は、処方箋を間違えてしまったことがあります。
手書きのカルテをもとにパソコンに入力する際に、クリームだと「CR」、軟膏だと「OR」と書いてあるのですが、この「C」と「O」が分かりにくくて、本当は軟膏だったのに、クリームとした処方箋を出してしまいました。
調剤薬局から「前回はクリームで今回は軟膏ですが、大丈夫でしょうか?」という連絡が入り、間違いが判明しました。
薬剤師さんのおかげで大変なことにならずにすみましたが、本当に焦りました。
この時、一緒に働いている先輩から「先生の字、癖が強くて読みにくいわよね。
電子カルテになってデータも連動できれば、こういうミスが無くなるのにね」と言われました。
確かに先生の字には、数字の「5と3」と「2と7」や、カタカナの「カとヤ」など、わかりにくいのがいくつかあり、その都度先生に確認をとっていました。
薬剤名にしても病名にしても全くなじみのないものばかりなので、知識がないと慣れるまでは本当に大変です。
これが電子カルテになれば一気に解決できてしまうというのは本当に魅力です。
医療事務の仕事もかなり楽になると思います。
それなら、電子カルテを導入すれば、医療事務のスタッフはすべて、資格などを持っていなくてもいいかと聞かれると、答えは「ノー」です。
やはり、診療報酬の改正など、制度の変更があった時に、全く基礎知識がないと、理解できないことも出てきます。
それから、パソコンに載っていないものがあった場合は、調べないといけないのですが、その調べ方がわからないということもあります。
ですから、常に一人は医療事務の勉強をしたスタッフが勤務している状態になっているほうがいいと思います。
私が素人同然でもどうにかなっているのは、この道30年という大先輩がいるからです。いつも私とこの方の2人が業務をしていますので、困ったことが出てきた時や、わからないことがあった場合は、その都度、教えてもらいながら対応しています。やはり、ちゃんと勉強した方が近くにいてくださると安心ですね。
ある調査によると、
診療所における電子カルテ普及率は推定13%(2008年)。
新規開業の約70%(都市部ではほぼ100%)が電子カルテを導入していると報告されています。
電子カルテには、誤記の防止、過去の病歴・検査歴・投薬歴の管理が容易など、様々なメリットがあります。
しかし一方で、スタッフのIT技術力不足、システムダウンの危険性、ウイルスなどのセキュリティー対策といった問題もあるため、導入にあたってはこれらへの対策も重要と考えられています。
「最近、医療事務の勉強をきちんとして、資格を取得しようと思っています」と話す本郷さん。
後半では、その理由についてお聞きしています。