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開業ドクターから学ぼうみんなの本音
患者・スタッフ・家族...
開業医をめぐるそれぞれの本音とは?
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患者さんの本音―転院の理由は「待ち時間」でした
主婦 大野さん(仮名)37歳の場合
待合室の「何」が、大野さんに転院を決意させたのでしょうか?
そして、継続して受診したくなるクリニックの「待合室」の工夫とは。

いまのクリニックは、インターネットの口コミサイトで見つけました。口コミサイトで評判がよかったところについては、クリニックのホームページも見るようにしています。ホームページで、特にチェックしたのは「待合室のレイアウト」です。「待合室のレイアウト」までホームページに載せているクリニックって、まだまだ少ないですよね。他の診療科ではどうなのかわかりませんが、少なくとも私のような心療内科の患者にとっては重要な情報なんです。
「待合室のレイアウト」のどこを見るかというと、広さと椅子の向きです。1回で通院を中止したクリニックは待合室が狭くて、患者同士が向き合うようなレイアウトになっていました。私の場合、こういう待合室って精神的に非常に不安になるんです。なんとなく視線が気になってしまったり、他の人が話している内容が聞こえてきてしまいそうで…。いまのクリニックは、待合室が広々としているし、患者が同じ方向を向いて座るので安心です。
そうそう、同じ方向を向いて座るレイアウトであっても、入口を向いているというのはNGです。クリニックの扉を開けたとたん、全員の視線が自分に集まるので それだけで威圧感を感じてしまうというか。正面にテレビがあって、 全員がテレビに向いて座っているような待合室が理想ですね。さらに欲をいえば…シートが一つずつ、分割されていると、好感度が高いですね。 もっと細かいことまで話してもいいですか?特にチェックしているつもりはなくても、待合室で待っていると、どうしても細かいところまで目がいっちゃうんですよね。置いてある雑誌が古いとか、受付の人の服装とか。 それから・・・観葉植物が置いてある医院って結構多いと思うんですけど、枯れていたりするとそれだけで気分が落ち込んじゃったりするんですよ。いまの医院は、いつ見ても手入れが行き届いているから、気持ちいいですね。
それと、いまの医院で気に入っているところがもうひとつあります。待合室にウォーターサーバーがあるんです。待ってる間って、自分では気がつかないうちに緊張しているのか、すごく喉が乾いちゃうんですよね。ですから、いつでも冷たいお水が飲めるのってポイント高いです。他の患者さんも、よく利用してますよ。
椅子の向きとか観葉植物とか水とか…ひとつひとつは小さなことかもしれませんが、そのちょっとしたことがきっかけで、だんだん通うのがつらくなって結局は行かなくなってしまう、というのがいままでのパターンでした。いま通っているクリニックは、「患者さんに不安を感じさせる要素を、できるだけ排除する」っていう方針で運営されているみたいです。先生やスタッフの皆さんの患者さんに対する思いが、待合室のちょっとした配慮からも伝わってくる気がして、3回目でいいクリニックに出会えて、本当によかったな、と思っています。
「患者数が年々増加している」「大きな設備投資が不要」などの理由で、メンタルクリニックへの注目度が高くなってきています。ただし、心の病気なだけに、他の診療科とは違った配慮が必要だといえそうです。
心療内科に限らず、開業を考える際には、患者さんに「理想のクリニック」についてヒアリングしてみるのもいいかもしれませんね。スタッフの目線から見えるものと、ただ座って順番を待っている患者さんの視点から見えている景色には、同じ空間でも印象にはやはり違いがあるようです。
次回は「患者に付き添う家族」の目から見た「いいクリニック・悪いクリニック」についてお送りします。