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開業準備「虎の巻」開業トレンド
医院開業マーケットを様々な切り口で分析
これからの開業はどうなっていくのか?
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薬局を取り巻く環境
- 今後の日本の薬局と医薬品
医院によっては経営を圧迫される可能性も!?
スイッチOTC(Over The Counter Drug)の今後の動向に注目。
1.医薬品と薬局の関係
最近気になるのは、ジェネリック医薬品ではなくスイッチOTC(Over The Counter Drug)ではないでしょうか。処方箋を必要とする医薬品を一般用医薬品に転換した薬です。処方薬と一般用医薬品を並行で販売している薬も珍しくありません。そういえば、最近スイッチOTC が増えていることも今後の医療費の削減に利用される気がしています。
薬学部の教育が6年生となり、臨床能力が求められるようになったことや登録販売士については偶然のことではなく、医療政策では今後のプライマリ・ケアの患者を薬局へと誘導していこともあるかもしれません。
最近では、一般用医薬品が1類から3類まで分けられました。登録販売士は2類と3類の身体に大きな影響を与えない薬を扱います。一方、薬剤師は1類といったスイッチOTC のような処方薬と同じ効果のある医薬品を扱います。患者さんに簡単な問診を行い患者さんに副作用などの理解を得て医薬品を販売するようになっています。そういえば、最近では薬剤師のためのバイタル測定といった講座に人気が集まっています。
もし、仮に一部の疾患に対して、薬局にかかった方が得になるようなインセンティブがついたとしたら医院によっては経営を圧迫されることもあります。今後、スイッチOTC の動向には目が離せません。
2.ジェネリック医薬品の今後

診療報酬改定の度にジェネリック医薬品の使用促進のための方策が盛り込まれています。今改定では一般名処方という成分名による処方箋の発行に加算がつくようになりました。相変わらずジェネリックメーカーの数も多くどのジェネリックを使ったらいいのかがわかりません。
日本のジェネリックメーカーが増加している一方で、グローバルスタンダードのジェネリックメーカーが日本進出を果たしています。
第一三共はインドのランバクシーを買収し参入、今年はジェネリック医薬品の本命であるインドのテバが大洋薬品を買収して日本市場に本格参入します。因みに、最近ではファイザーなど先発品大手もジェネリックへ参入し、これからジェネリックメーカーが淘汰される時代に入ったと思われます。
薬価改定でもジェネリックメーカーの育成を考えるような甘い薬価ではなく薬価差益がある部分についてはどんどん切り下げています。ジェネリックメーカーもあと10年もしないうちにじり貧になってしまうでしょう。
ここ最近の薬価改定で思うことは、厚生労働省はジェネリックメーカーを利用して先発品の価格を下げているだけのような気もします。現在でも世界的に先発品の価格が安い日本でさらに価格の圧縮を狙っていると思われます。そうなると後発医薬品メーカーが破たんしようがお構いなしなのかもしれません。
結果としては、いいものが安く使えるようになるという戦略でしょうか。
3.今後の日本の薬局と医薬品のシナリオ
これから日本の薬局が強化され診療報酬で特定の疾患に関して医療機関への受診制限がかかるような政策が作られたとします。薬局でOTC により病気を治す時代が到来してもおかしくありません。そのために薬学部の6年生の教育がより臨床へと向かっていくのかもしれません。その後は、医院も技術をどんどん取り入れて高度な医療や在宅医療へと向かっていかなければならないかもしれません。
ジェネリック医薬品については、これから淘汰され大手のグループ数社に統合されていくと思われます。その頃には、ジェネリック医薬品の知名度が向上し、ジェネリック医薬品の質の問題も言われることが無くなると思われます。また、先発品メーカーもこれまでのように長いライフサイクルで製品の開発コストを回収することはなく、特許が切れるまで最大限に稼ぐ体制に転換していくことになるでしょう。アメリカにおける先発品のように、新薬はとても高額で医療保険を圧迫するような事態になるとも思われます。
これから医療政策も場渡り的な方策でなく先を見据えた政策を進めてもらいたいものです。2025 年の医療に関する目標数値は決まっていますが、どうなるでしょうか。
(文責:木村憲洋)