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クリニック経営を左右する失敗しないスタッフ採用のコツ
人材不足と言われる中、よいスタッフ採用するには?
最高の診療ができる環境にするための、人材確保のコツとは。
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事務スタッフは経営の要、だから採用も真剣に
経営者としてクリニックを切り盛りしていくわけですから、これまでのように事務処理は苦手と逃げるわけにはいきません。自分の右腕となる事務スタッフが採用できれば、医師としての仕事に集中することができます。
事務スタッフに必要な能力は「マルチ力(りょく)」
クリニックに絶対に必要な事務仕事には、受付、医療事務、会計業務があります。
1日の来院患者数が80人を超えるようなクリニックなら、それぞれの業務に最低1人ずつの事務スタッフが必要になりますが、開業すぐのクリニックなら、1人、もしくは2人で十分でしょう。
それはつまり、「この仕事だけしかやりません」という人ではなく、何でもできる人を事務員として採用すべき、ということです。そうすれば、1人が急な事情で休みを取った場合でも、もう1人がその人の仕事をフォローできます。
また、「受付なんて誰でもできる」からと、数時間単位でパートさんに任せればいいと考えがちですが、受付こそクリニックの顔になるのですから、安易な採用は控えた方がいいでしょう。それよりも、医療事務も会計業務もできる「マルチ力」のある人に受付もお願いし、その分のお給料を払う、というスタンスでいたほうが、いい人材を採用できます。
看護師に比べて採用しやすいといわれる事務職ですが、それでも「マルチ力」のある人を採用するのはそう簡単なことではありません。
人件費は抑えたいところですが、開業時はクリニックの経営を軌道にのせなければならない大切なときですから、「受付はパートの主婦かバイトの学生でいいか」なんて考えは捨てて、「優秀な事務スタッフに受付業務もお願いする」という方針で事務職を採用することを考えてみましょう。
IT技術も活用する
最近では、予約や受付のIT化が進んでいます。タッチパネルを使った受付機なら、高齢者でも慣れれば使えるようになりますから、導入を考えてもいいでしょう。
お金を借りやすい開業時の初期投資として、電子カルテ、タッチパネル式の受付など、IT機器を導入するのも、経営を効率的に行う方法です。まして、最初からIT化していれば、採用の際にもITに強い人を雇うことが可能です。
加えて、いまの時代、ホームページの充実、SNSでの情報発信は、クリニックに欠かせない広報ツールです。院長1人で何もかもをやることは不可能ですから、休診や予防接種などのお知らせページの更新はスタッフに任せられれば、院長はクリニックの情報発信に注力できます。
このように、院長がどのようなクリニック経営をしていきたいか、スタッフに何を求めるかが明確になっていれば、採用したい事務スタッフ像が見えてきます。
理想を言えば、医療事務はもちろんですが、会計の知識、そしてITの知識を持つ人なら、申し分ありません。
とはいえ、ただ技能や知識だけがあってもダメです。なぜなら、事務スタッフが相対するのは患者さんだからです。「あのクリニックの受付スタッフは冷たい」などという噂がたってしまったら、地域のかかりつけ医としては失格です。
笑顔で、感じよく、思いやりを持って患者さんに接遇でき、そのうえで必要な技能と知識を持つ事務スタッフが採用できれば、申し分ありませんね。
けれど、最初から何もかも完璧にこなせる人を雇うのは、至難の業です。それしかやりません、という人よりも、何でもやります!という人を雇うことをお勧めします。ITの知識がなければ、学んでもらえればいいのですから。ケチらず、焦らず、納得できるいい人材を採用しましょう!
(エディター・キャリアコンサルタント:内田朋恵)