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高齢者の精神的健康度を悪化させる社会的孤立に、地域で取り組む必要性


(2024年10月)

令和6年版の高齢社会白書によると、令和5年10月1日現在、日本の総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は29.1%、75歳以上の割合は16.1%となりました。
なかでも高齢者の一人暮らしの割合は年々増加しており、2020年時点で一人暮らしの者に占める65歳以上の割合は女性22.1%、男性15.0%となっています。*1 
白書の第3節「高齢者の住宅と生活環境をめぐる動向について」では、「親しくしている友人・仲間がいるか」についての調査結果*2    が出ており、「親しくしている友人・仲間がたくさんいる、普通にいる」という人は、平成30年度の調査では72.2%でしたが、令和5年度の調査では46.8%に減少しました。
さらには、毎日人と話すという高齢者の割合も、90.2%(平成30年度)→72.5%(令和5年度)と大きく減少しています。 

白書では、「望まない孤独・孤立に陥らないようにするための対策の推進が必要」であると指摘するとともに、さらなる一人暮らしの高齢者の増加が見込まれるなかで、「従来家族等が担ってきた日常生活等における様々なサポート等について、地域や社会においてどのように担っていくかについても更なる検討が必要である」と指摘しています。

では、一人暮らしは私たちの健康にどのような影響を及ぼすのでしょうか。 9月4日、東京都健康長寿医療センターが興味深い研究結果を発表しました。*3 
これまでも、「社会的孤立状態」が精神的健康度に悪影響を及ぼすことは再三指摘されてきましたが、同研究では嗜好性(一人が好き)の違いがどんな影響を及ぼすかを調査しました。
それによると、全世代に共通して、「独り好き志向性が高い人もしくは社会的孤立者ほど精神的健康度が低い」ことがわかりました。
また、「独り好き志向性による社会的孤立者の精神的健康度悪化の緩和作用はない」とも指摘しており、たとえ人づきあいが苦手で好んで一人でいる人であっても、社会的に孤立することは精神健康上よろしくないという調査結果となりました。
ただし、この研究は「一時点の関連性を調べた調査であり、因果関係を示す結果ではない」ことから、「解釈には注意が必要」ではありますが、「独りでいることが好きだから社会的に孤立していても精神的には健康でいられる」とは言えないことがわかったといえます。

高齢社会白書にもあるように、高齢一人暮らしの増加は、家族に代わって今後は地域が生活の様々なサポートをしていくことを意味しています。
そしてかかりつけ医機能の強化は、医師も地域の民生委員や保健師、社会福祉士などと協力し合い、地域の高齢者を見守っていくことの一翼を担うことです。そのためにも、地域包括支援センターとの連携は避けられません。

団塊の世代のすべてが75歳以上になる2025年は直前です。開業医として地域とどう関わっていくか、決断の時が来ています。

(文責:ブランディング・エディター 内田朋恵)


 *1「令和6年版 高齢社会白書」概要(PDF版)【第1節】高齢化の状況及び【第2節】高齢期の暮らしの動向 

 *2「令和6年版 高齢社会白書」概要(PDF版)【第3節】〈特集〉高齢者の住宅と生活環境をめぐる動向についての図3-6参照 

 *3「独り好き」志向性とこころの健康 ―「独りでいることを好む人」でも孤立の悪影響は緩和されない可能性が明らかに― 2024年9月4日地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター

 

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