薬剤師不在店舗での一般用医薬品販売と「総合診療科」標榜可能化へ議論促進!
(2024年7月)
規制改革推進会議が取りまとめた答申により、2024年6月21日、政府は今後、医療・介護分野において計画的かつ着実な実施を図るための「規制改革実施計画」を閣議決定しました。*1
今年度中に結論を出すことを求められているのが、「デジタルによる薬剤師等不在店舗での一般用医薬品販売」の実施。これは、早朝・深夜や過疎地などの薬剤師非常駐の店舗(受け渡し店舗)でも、薬剤師が常駐する店舗(管理店舗)からのデジタルによる管理・販売により、一般用医薬品を入手可能とするものです。
計画によりますと、厚生労働省は、「物理的な距離を超えて利用者に利便性を届けられるデジタル技術を活用する上で、本来、地理的制約を課さないことが望ましく、受渡店舗を管理店舗と一定の地理的範囲(同一都道府県内、隣接都道府県内や同一地域ブロック内など)に限ることは合理性がない」という指摘を踏まえて、令和6年度中に結論を出し次第、速やかに措置することを求められています。
ただし、「新たな制度においては薬事監視を行う地方公共団体間の適切な連携が求められる」という指摘もあることから、「まずは同一都道府県内で実施すること」とし、今後より広範囲での制度実施に向けて、「監視に係る課題整理に着手する」とともに、「地理的制限の見直し」については、令和6年度に検討を開始し、法令上の設置施行後、2年以内に結論をだすことも求められています。
この規制緩和により、週末や夜間で薬剤師が不在のためにこれまで購入ができなかったOTC薬の購入が可能になるかもしれません。
もう一つ注目すべき計画が、「総合診療科」を標榜可能にするための検討です。
現在、一般社団法人日本専門医機構の定める専門医制度の基本領域のうち、総合診療科のみが標榜可能な診療科名として認められていません。
超高齢化社会を迎え、特定の臓器の問題や疾患だけを抱えた患者さんよりも、多様な問題を抱える患者さんが増加しています。
「患者が総合診療を受診したいと考えたとしても地域で総合診療医を見つけることが難しいという意見があり、標榜可能な診療科名に総合診療科を追加することについて検討すべき」という指摘もあると、計画書でも明記されています。
ところが、診療科の名の標榜見直し(総合診療を標榜する診療科名にするかどうか)については、平成20年2月の議論を最後に医道審議会医道分科会診療科名標榜部会も開催されていないのが現状です。
こうした声を受け、「厚生労働省は、特定の臓器や疾患を超えた多様な問題を抱える患者等が、総合診療を担う医師の受診を希望する場合の医療へのアクセスを円滑化する観点から、医学医術に関する学術団体の意見を踏まえつつ、標榜可能な診療科名に総合診療科を追加することについて、検討し、結論を得る」とし、令和7年度に結論を出すよう求めました。
このほかにも、在宅医療の円滑化のための駐車規制見直し等も今年度の検討、結論が求められました。
これは、駐車許可の申請手続きについて一括オンライン申請を認め、さらには許可基準(枠組み)の全国統一、除外標章対象に(医師に加え)看護師等を追加するというものです。
これにより、「①保健師、看護師又は准看護師が、医師の指示(包括的指示を含む。)を受け、直ちに患者宅等を緊急に訪問し看護を行うための車両及び②助産師が直ちに妊産褥婦宅等を緊急に訪問し助産等を行うための車両がその対象となり得ることを明確化し、都道府県警察を指導する」こととなり、今後は医師の同行がなくても駐車禁止除外標章の対象となります。
今後ますます在宅介護の増加が見込まれます。さまざまな規制が緩和され、柔軟な運用がされることを期待します。
(文責:ブランディング・エディター 内田朋恵)