どうなる? 10月からの新型コロナウイルス感染症の医療提供体制と公費支援
(2023年10月)
2023年9月15日、厚生労働省は10月以降の新型コロナウイルス感染症の具体的な医療提供体制と公費支援について、発表しました。*1
5月8日から5類に変更されて以降、国は「入院措置を原則とした行政の関与を前提とした限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による自律的な通常の対応に移行していく」とし、幅広い医療機関での対応を求めてきました。
9月末までの移行期間中、広く一般的な医療機関(全国で最大約6.4万)での対応を目指してきましたが、「9月6日時点で、全国で約4.9万機関(うち、「普段から自院にかかっている患者」以外に対応する医療機関数は、約3.6万機関)の外来対応医療機関を確保しており、位置づけ変更前から着実に増加している」ということで、当初の目標は達成したようです。今後は、さらに通常医療との両立を強化していくといいます。
実際、国は来年4月からの新たな診療報酬体系による医療提供体制に完全に移行するために、外来診療に当たる医療機関向けの啓発資材の作成・普及を行いました。*2(資料は、下の注を参照してください)
そして、診療に必要な設備(HEPAフィルター付空気清浄機、個人防護具など)の購入については、「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)の外来対応医療機関設備整備事業において、補助対象範囲の見直しを行った上でその購入費用を補助することとする」とし、これまで新型コロナの診療をしていない医療機関へ診療に対応してもらうよう、働きかけを進めています。
また現在、発熱などの症状がある患者さんの検査や診療が一部の医療機関に集中しないよう、各都道府県では外来対応医療機関を指定し、公表する仕組みができています。
各都道府県のホームページには、診療時間や検査体制、「普段から自院にかかっている患者』以外の患者への対応の可否や、妊婦・小児の対応の可否、経口抗ウイルス薬の投与の可否、オンライン診療の可否などの条件のもとに医療機関を検索できるサイトもアップされていますから、コロナの診療を始めるかどうか迷っているなら、このサイトを利用してほかの診療所の状況をチェックしてみるのもいいでしょう。
とはいえ、診療報酬上の特例措置も10月からはカットされますし、来年4月以降は治療薬の患者負担も大幅にアップします。*3
補助金が出るうちに様々な設備を整えるか、これからもコロナ患者は診療しないか。
すでに診療をしているクリニックは、治療薬や検査の自己負担増による患者さんの治療を回避にどう対応するか。
COVID19の感染が続くなか、まだまだ国の政策の行方を注視していく必要がありそうです。
(文責:ブランディング・エディター 内田朋恵)
*1「新型コロナウイルス感染症の令和5年10月以降の医療提供体制の移行及び公費支援の具体的内容について」令和5年9月15日 厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策本部ほか
*2 医療機関向けの啓発資材について
・「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う啓発資材について」(令和5年4月4日付け事務連絡)
・「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う啓発資材について(第二報)」(令和5年4月17日付け事務連絡)
・「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う啓発資材について(第三報)」(令和5年5月26日付け事務連絡)