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終末期医療について、普段から患者さんや家族と意思共有を


(2023年7月)

今年3月に亡くなった音楽家・坂本龍一さんの最後の言葉が収録された本*1 が出版されましたが、その中で「もうここまでにしていただきたいので、お願いします」と自分の意思で緩和ケアに移りたいと語ったと記されています。*2 

このように、がん患者の場合、最後まで自分の意思を表示できる場合が多いですが、がん患者以外の人、とくに認知症患者では、大変難しいことです。

厚生労働省が1992年以降、約5年ごとに、これまで計6回にわたって、一般国民及び医療・介護従事者の人生の最終段階における医療・ケアに対する意識やその変化を把握することを目的に実施している「人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」の最新版(2022年)*3     によると、「人生の最終段階で受けたいもしくは受けたくない医療・ケアについて、ご家族等や医療・介護従事者と詳しく話し合っている」という国民は29.9%しかいませんでした。
68.6%が「話し合ったことはない」と答えています。

さらに、治る見込みのない病気で、余命1年くらいと考えたとき、最期はどこで迎えたいかという問いには、43.8%の国民が自宅を希望しています。
ちなみに、医療機関は41.6%、介護施設は10%です。

自宅での最期を希望するのは、国民だけでなく、医師、看護師、介護支援専門員ともその割合が一番多く、それぞれ56.4%、57.4%、58.1%となっています。
医療機関を希望する人は、28.7%、32.3%、31.0%と一般国民よりも少なくなっており、ケアする立場の人々の多くが自宅での最期を希望している現実が見て取れます。

自宅で最期を迎えたい理由のベスト3は、「住み慣れた場所で最期を迎えたいから」が一般国民68.9%、医師70.3%、看護師66.9%、介護支援専門員63.4%、「最後まで自分らしく好きなように過ごしたいから」が一般国民61.5%、医師71.0%、看護師78.7%、介護支援専門員73.9%、「家族等との時間を多くしたいから」が一般国民56.0%、医師64.4%、看護師70.7%、介護支援専門員63.4%、となっており、医療機関や介護施設では自分らしい最期が迎えられないと、医療・介護従事者が考えていることがわかります。
特に注目したいのは、自宅を希望する方の多くが、訪問医療体制があまり整っていないのにもかかわらず、希望していることです。

かかりつけ医として、日頃から高齢者と関わりを持つことが多いクリニックの開業医なら、患者さんがまだ元気なうちに、患者さん、ご家族と一緒に、終末期医療についてキチンと話し合う機会を設けることは、超高齢社会を迎えた昨今、ますます大切なことになっています。
加えて、来院できなくなった場合、かかりつけ医としてどうするかについても、患者さん、ご家族と決めておく必要があるでしょう。
今後、患者さんから訪問医療を求められた場合、それに応じるのか、応じないのか。応じない場合は、在宅医療をしている医師を紹介できるのか。
かかりつけ医として、自身のクリニックの方向性は考えておかなければならないでしょう。

来年度の診療報酬、介護報酬の同時改訂に向け、こうした医療と介護の境界部分の問題について、今後も注視していきたいと思います。

(文責:ブランディング・エディター 内田朋恵)


*1『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(新潮社)

*2「坂本龍一さんの流儀 緩和ケア、自らの意志で 著書刊行、最期の日々…日記も紹介」日刊スポーツ2023年6月20日配信 

*3「令和4年度人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査の結果について(報告)」令和5年6月2日 第99回社会保障審議会医療部会 資料2より 

 

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