やっと国も本腰を入れた?コロナ後遺症対策
(2023年3月)
新型コロナ感染症の5類への移行も間もなくですが、その後の感染状況がどうなるかわかりません。
医療機関はまだまだ気が抜けない状態は続くでしょう。
そんな中で、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は2月20日、事務連絡として「新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に悩む方の診療をしている医療機関の選定及び公表等について(依頼)」*1 という文書を出し、各都道府県、保健所設置市などの衛生主管部局に「コロナ罹患後症状」で悩む人たちの診療、専門医等への紹介等をスムーズに行えるよう、医療機関選定とウェブサイト等での公表を要請しました。
パンデミック初期から「コロナ後遺症」に悩む患者が出ていましたが、厚生労働省は対策を取っていませんでした。
しかし、マスコミでも取り上げられることが多くなり、さらに海外からの症例報告も出てきたことで、2021年12月1日、『新型コロナウイルス感染症 診療の手引き』の別冊『罹患後症状のマネジメント』を暫定版として作成公表しました。
その後、2022年4月28日には第1.0版、同年9月には第2.0版*2 が公表され、「罹患後症状」に悩む患者さんが、かかりつけ医等に相談できる体制が整えられたはずでした。
しかし診療体制の整備事情は地域差が大きく、多くの場合、診察してくれる医療機関を探すことは難しいのが現実です。
今回の依頼書の最後に、取組の具体例として東京都のウェブサイトが紹介されていますが、東京都だけでなく埼玉県のウェブサイトでも、症状別から医療機関を探せたり(東京都*3 )、診療科目から医療機関を探せたり(埼玉県*4 )することできるようになっています。
しかし、全国的に見れば、保健所や新型コロナ受診相談センターへの問い合わせでしか対応していない自治体が多いようです。
つまり、罹患後後遺症で苦しむ患者さんがいるのに、診療してくれる病院が近くにないという現状がもう3年以上も続いていることになります。
こうした背景もあり、国も本格的な罹患後後遺症への対応を始めたのでしょう。
この依頼書では、2023年4月28日までに各都道府県のウェブサイト等に医療機関の掲載を完了することが求められているため、早急に作業を進める必要があります。
近頃国が進める政策は、マイナ保険証しかり、今回の依頼しかり、医療現場の実情には即していないと感じるのは私だけでしょうか。
まだまだコロナ感染症対応で現場は大変なところに、今度はコロナ罹患後症状への対応を求められているわけですが、今回の要請は、発熱外来設置ほど敷居が高くなく、自院でできることだけを引き受ければいいわけです。
新しい患者さんを獲得するチャンスかもしれません。コロナ後遺症外来の開設を検討してみるのも悪くないかもしれません。
(文責:ブランディング・エディター 内田朋恵)
*1 「新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に悩む方の診療をしている医療機関の選定及び公表等について(依頼)」事務連絡 令和5年2月2 0日
*2 「新型コロナウイルス感染症診療の手引き 別冊罹患後症状のマネジメント」
*4 「埼玉県新型コロナ後遺症外来 診療医療機関リスト」埼玉県