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物価高騰を価格転嫁できない保険医療機関、どうやって乗り切るか 


(2022年7月)

先日、6月では観測史上初の40度超えを記録した日本列島ですが、今夏は猛暑が予想されています。
そこで気になるのが、光熱費の高騰です。先月末にTEPCOが発表した「2022年7月分電気料金の燃料費調整について」によると、平均モデルで1カ月の電気料金が6月と比べて306円も値上がりします。*1 

クリニック経営で欠かせない紙の価格も高騰を続けています。
春に1回目の値上がりがありましたが、ウクライナ情勢を加味して7月からもう一段の値上げを各社が予定しているようです(6月27日現在)。
そうなるとトイレットペーパーやペーパータオルのさらなる値上がりも避けられないでしょう。

しかし保険医療機関であるクリニックでは、こうした物価高騰分を価格転嫁できません。
昨年と比べて、1.5倍近くの光熱費がかかるにもかかわらず、それを価格転嫁できないとなると、コロナ禍からやっと持ち直してきたクリニック経営に追い打ちをかけかねない状態です。

こうした現状に危機感を抱いた四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会の4団体で構成)は、6月23日、萩生田光一経済産業大臣へ宛てて「医療機関における光熱費(電気・ガス・燃料)に関する要望」を行いました。
四病院団体協議会は、5月25日にも国土交通大臣*2   、厚生労働大臣に向け*3   に「令和5年度予算概算要求に関する要望書」を提出していますが、天井の見えない物価高騰に来年度まで待っていられないと、あらたに緊急で要望書を提出したのです。

他にも、入院の食事代は30年近く据え置かれたままであったり、サイバーセキュリティ対策に大変な費用がかかったり、本当に病院経営は厳しい時代です。
特にサイバーセキュリティ―に関しては、3月31日に四病院団体協議会で緊急提言を出しています。*4 

この提言は20床以上の病院を前提としたものですが、電子カルテが一般化した現在、診療所レベルであっても、ウイルス対策は絶対に必要です。その費用は本当にバカにならないレベルになっています。

消費税が10%になるときには診療報酬に上乗せがありましたが*5    、今回の物価高騰のように予想不可能な事態では、緊急で診療報酬を上乗せすることは難しいでしょう。

NHKのニュース*6 でも取り上げられていた電気代が安くなるブレーカー*7 をつけたり、ペーパータオルを廃止したり、エアコンの設定温度を上げるなど、今のところは小さな努力で乗り切るしかないようです。

(文責:ブランディング・エディター 内田朋恵)


*1 「2022年7月分電気料金の燃料費調整について」2022年5月27日 

*2  「令和5年度予算概算要求に関する要望書」国土交通大臣宛て 

*3「令和5年度予算概算要求に関する要望書」厚生労働大臣宛て 

*4「病院のサイバーセキュリティ対策への公的補助金の支給について」(緊急提言)令和4年3月31日 

*5 消費税に関する厚生労働省資料

*6「5月分の電気代 ガス代も値上がり 電気代は過去5年間で最高水準」2022年3月30日 19時18分  

*7  株式会社笑子(エコ)

 

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