小児コロナに、これから開業医はどう対応するか?
(2022年4月)
3月21日をもって、まん延防止等重点措置が全国で解除されました。第6波は収束に向かっていると言われていますが、これまでに比べればまだ感染者数は多い状況です。
国もまん延防止等重点措置の解除はしましたが、昨春の緊急事態宣言解除後の感染急拡大の経験から、今年は更なる感染防止をホームページでも呼び掛けています。*1
第6波後半の特徴としては、子どもが学校や幼稚園、保育園でオミクロン株に感染してきて家族全員が感染することと、高齢者施設でクラスターが発生することが挙げられます。新学期が始まる4月は行事も多く、人が集まる機会も増えるので、10代以下の子どもの感染はまだまだ予断を許しません。
こうしたなか、日本小児学会は新型コロナウイルス感染症の日本国内での小児の臨床症状と重症度の変遷を明らかにしました。*2
これは新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2020年5月22日からのレジストリ調査による報告です。流行当初は「小児の感染はまれである」「小児は重症化しない」など言われていましたが、実際のデータを見ると、確かに肺炎の合併率は成人に比べて低率であることがわかります。
また、成人の感染者で大きな問題になっている後遺症の発生についても、11歳以下ではかなり低くなっています。*3
このように、たとえ新型コロナウイルスに感染しても重症化しないとなると、考えてしまうのが「ワクチン接種」をどうするかです。5~11歳を対象に使用できるワクチンとして、日本では2022年1月21日にファイザー社のワクチンが正式に薬事承認されました。*4
このワクチンに対しては、アメリカで行われた臨床試験では有効性が確認されていると紹介されています。とはいえ、多くの副反応が報告されているコロナワクチンの接種については、慎重になってしまう保護者は少なくないでしょう。
まして、今のところ小児は重症化リスクも後遺症の発生リスクも低いとなれば、なおさらです。
小児を診察する先生方は、日々、保護者からワクチン接種について相談を受けると思われますが、どのように回答したらいいか迷うものです。
なお現在、新型コロナウイルスの検査法として、PCR検査(核酸検査)、抗原定性検査、抗原定量検査が保険適用となっており、かかりつけの内科、小児科のクリニックでも気軽に検査してもらうことができるような体制になっていますから、ワクチン接種が心配なら、症状が出たら早めに検査をして確認することで対処することも可能でしょう。
小児のコロナワクチン接種については、専門家でも意見が分かれているのが現状です。
ここは日々アップデートする各種レポートをチェックして、医者としての対応を決めていただきたいと思います。
(文責:ブランディング・エディター 内田朋恵)
*1 内閣官房新型コロナウイルス感染症対策「基本的対処方針に基づく対応」より