新型コロナウイルス感染症の流行で往診が注目されている
(2022年1月)
2021年11月26日、WHOが最も警戒すべき「懸念される変異種」に指定したオミクロン株ですが、それから1カ月も経たないうちに、日本でもオミクロン株の市中感染が確認されました。
名古屋工業大学平田教授は、早ければ2022年1月末には、東京都内の感染者は1日当たり3000人を超えるのではないかというAI予測を発表しました。*1
そうなると心配になるのが、医療崩壊です。
第5波の際、全国で病床ひっ迫が起りましたが、特にひどかった東京では中等症Ⅱでも入院できずに、自宅で亡くなる方が何人も出てしまいました。
そんな第5波では社会的要請に応える形で、多くの診療所が新型コロナの診療に関わり始めました。
その一つが往診で、かかりつけ医による往診だけでなく、往診を専門にした診療所が注目を浴びたのは記憶に新しいところです。
コロナ患者の往診といえば、往診した医師が救急車を呼んでも搬送先が決まらず、家族を前に「覚悟してください」と言わなければならなかった場面の動画は、SNSはもちろんTVニュースでも流され、大きな反響を呼びました。
世の中にコロナウイルス感染症の恐ろしさを知らしめる大きな力を持った映像でした。
新型コロナ感染症の流行から2年になろうとしています。
診療報酬も改善され、治療薬も承認され、往診の16キロルールの緩和も通知 *2 されましたので、第6波では、保健所が機能不全にならないよう、地区医師会、診療所、病院、行政がスムーズに協力してほしいと願います。
さて、医師によるこの「往診」マーケットは、コロナ禍で急速に成長したようです。
地域のいくつかの診療所が協力して往診システムを構築したり、勤務医仲間が集まって診療所に協力する形で往診を始めたり、なかには全国展開する救急相談窓口&往診サービスまで現れました。
こうした流れは、我々患者にとってはいい方向です。
これまではコロナウイルスに感染しても保健所とも連絡が取れない、宿泊療養施設にも入れない、病院にも入れない、といった現状があったわけですから、直接医師の往診を依頼できるこうしたサービスは、とても安心できるシステムです。
ところで、往診サービスの運用が可能になった背景には、オンライン相談、電話相談の初診解禁があります。
往診する前に、電話やWEB上で患者さんの様子を詳しく聞けるのですから、往診のトリアージも可能になりました。
この2年で、診療所を巡る環境もものすごいスピードで変わっています。
「往診なんて、昭和のシステムでしょ」なんて言っていられない、そんな時代になったようです。
(文責:ブランディング・エディター 内田朋恵)
*1 NHK首都圏ナビ「AI予測 オミクロン株の拡大で都内感染者が1日3000人超のおそれも」
*2 厚生労働省保険局医療 課「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その7)」(令和2年3月 27 日)