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コロナ禍で置き去りにされた医療現場スタッフのメンタルケア


(2021年6月)

5月に入って、コロナの流行第4波が、関西、愛知、東京だけでなく、九州や沖縄にまで広がっています。
政府は緊急事態宣言の対象地域を少しずつ広げていますが、5月末現在、感染の収束には至っておりません。
そんななか高齢者へのワクチン接種が本格化してきました。
政府は7月末までに高齢者のワクチン接種を終わらせると明言しています。
高齢者のワクチン接種がスムーズに終わることで、コロナの中等症者、重症者治療に専念している医療従事者へ、これ以上の負担がかからないことを祈るしかありません。

イギリス株が主流となった第4波では、中等症、重症者の若年化が指摘されていますが、病院関係者は、途切れることのないコロナ患者さんの入院に、身も心も疲れ切っている事でしょう。にもかかわらず、大阪府や兵庫県では、入院できないコロナ患者が自宅で死亡することが続いています。
変異種の特徴として、急激な重症化が指摘されています。コロナに感染したと気づかずに急に症状が悪化して、近所のクリニックの発熱外来などを受診し、初めてコロナに感染したことを知る患者さんもいるようです。
その場合は、医師もスタッフも感染のリスクにさらされるわけです。

コロナ病棟のように、感染リスクがあることを認識して働いているのと違って、クリニックのスタッフは「もしかしたら、感染者が来るかもしれない」と恐れながら、日々の業務に当たっています。
実際、医療従事者のワクチンの2回接種率は35%(5月18日現在)と報道 *1されています。とくに大都市の診療所では30%未満というのが実情です。

このような状況下で、医療従事者の子どもが保育園の通園を断られるということもあった最初の緊急事態宣言時ほどではないにしても、医療従事者のストレスは限界まで来ており、うつ病の発症も多く報告されています *2。にもかかわらず、現状では医療従事者のメンタルの悪化については、なかなか有効な対策が取られておらず、ほぼ放置されているというのです。
もちろんメンタルの悪化が問題になるケースの多くは、コロナ患者を受け入れている病院のスタッフであると思いますが、地域の診療所のスタッフでもメンタルの悪化がないわけではありません。

こうしたなか、厚生労働省では「こころの耳」*3 という新型コロナ感染症対策(こころのケア)特設サイトを設けていますし、医療事故問題に詳しい早稲田大学法学学術院の和田仁孝教授が理事を務める一般社団法人「Heals」*4では、医療従事者らを対象にコロナに関する電話相談も受けています。
他にも、東京大学医学部附属病院精神神経科では、医療関係者へ向けて「新型コロナウイルス感染症に関連したこころのケアについて」 という特設サイト*5を設け、こころのケアに関連する情報発信を続けています。

ワクチン接種がなかなか進まない状況では、医療従事者への負担はまだ当分続くと思われます。
今後、クリニックスタッフのメンタルケアは、ますます重要になってくるでしょう。

(文責:ブランディング・エディター 内田朋恵)


*1 日本経済新聞WEB 2021年5月18日 23:30 配信
*2 週刊東洋経済PLUS 2021年5月2日「医療従事者のメンタル悪化が「放置」される複雑背景 うつに不眠、「心の異変」相次ぐ医療現場の深刻実態
*3 「こころの耳」
*4 「Covid19関連ピアサポート特設室」(コロナウィルス対応で辛い体験をしている医療者・遺族へのサポート)
*5 「新型コロナウイルス感染症に関連したこころのケアについて」東京大学医学部附属病院精神神経科

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