コロナ第3波におけるかかりつけ医としての診療体制づくりについて
(2020年12月)
11月に入り、とうとうコロナ第3波が到来してしまいました。
医療関係者にとって、秋冬のコロナ再流行は想定済みだったとしても、感染拡大のスピードはGoToキャンペーンが早めたと考えていいでしょう。
11月の3連休前に、政府や自治体の首長は慌てて、小さな5、会食マスクなどを求めましたが、とうとう連休中にGoToの一時停止となってしまいました。こうした政府の対応を見て、現場の医療関係者はやり切れない思いでいっぱいでしょう。
「GoToで経済を回すなら、PCR検査、抗原検査を条件に」と尾崎治夫東京都医師会会長が11月23日にテレビで発言*1していましたが、
医療体制がひっ迫する中、国民に注意を促すだけでは、この感染拡大を抑えるのは難しいのではないでしょうか。
そんな中で、発熱外来のないクリニック、診療所での「発熱患者お断り」が医者の応召義務に反するかどうかについても、やっとマスコミ*2でも取り上げられるようになってきました 。
先月のNEWSでも書きましたが、厚生労働省の通達 では発熱外来がないことは「受診を断る正当な理由には当てはまらない」ため、貼り紙やHP上だけで「お断り」することは避けなければなりません。
とはいえ、発熱を隠して受診したり、マスク着用を拒否したりといった、患者側の問題もあり、その対応は難しいところです。
しかし発熱外来が設置できないクリニックでは、発熱外来やPCR検査ができるクリニック、病院と連携をし、そちらへ患者さんを紹介できる体制づくりが絶対に必要になるでしょう。
一方で、コロナの患者さんを引き受けたことで、他の疾患の患者さんを診療することができずに、経営が苦しくなるケースも多くみられるようになっています。
国は、コロナ診療に対して診療報酬を引き上げていますが、その程度の引き上げでは全く足りないというのが実情です。
引き受けるのも、断るのも、どちらも大変という状況で、ワクチンが開発されるまで、かかりつけ医としてどのように日々の診療とコロナ感染症を両立していくべきか。答えの出ないテーマに向き合わなければなりません。
国も、11月19日に開かれた「医療計画の見直し等に関する検討会」*3では、コロナ禍の中でも待ったなしで進む人口減少と高齢化に対応するため、 「かかりつけ医の機能強化」 を打ち出しています 。
大学病院などの「医療資源を重点的に活用する」外来を担う医療機関にも、紹介状なしの患者に対する特別な負担金の徴収義務を拡大してはどうかという意見も出ており、地域の限られた医療を崩壊させないためにも、今後一層、かかりつけ医の機能強化が求められています。
国民の大病院志向が強い中で、いかにしてかかりつけ医の重要性を周知させていくべきか。
コロナ禍で起こった受診控えは、かかりつけ医としてのそれぞれの立ち位置を、もう一度見直すきっかけになるのではないでしょうか。
(文責:ブランディング・エディター 内田朋恵)
*1 11月23日「羽鳥慎一モーニングショー」
*2 日経メディカル2020年11月19日 記事 発熱隠し受診、マスク非着用……どう対処する?
*3「第23回 医療計画の見直し等に関する検討会」資料
かかりつけ医機能の強化、外来医療における多職種の役割、外来医療のかかり方に関する国民の理解の推進