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明らかになった初診からのオンライン診療における問題点


 (2020年10月)

新型コロナウイルス感染症の特例措置として進められてきたオンライン診療の活用ですが、利用者が増えてきたのに伴い、様々な課題も出てきました。そこで8月6日、第10回「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」で話し合われた内容について、検証してみます。

オンライン診療に対応する医療施設数は4月末が10,812、5月末が15,226、6月末が16,095、7月末が16,202となっており、増えているといっても7月末時点で対応している医療機関は全施設の20%にも至っていません。
患者さんの受診控えがクリニック・診療所の経営に大きな影響を与えているなかで、政府が推奨するオンライン診療は、医療機関にとって経営悪化を止めるほどの効果は期待できないようです。

その理由としては、4月に多少の引き上げはあったものの、診療報酬点数が低く、初期投資額と実際の利用患者数を考えると赤字になってしまう恐れがあげられようです。今後は、さらなる診療報酬点数の引き上げや初期投資への補助なども、政府に求めたいところでしょう。
一方、4月に特例的に認められた初診患者のオンライン診療については、いろいろな課題が出てきています。

そもそも、初診からオンライン診療を可能とする実施要件には、「診療等の求めを受けた医療機関の医師は、当該医師が電話や情報通信機器を用いた診療により診断や処方が当該医師の責任の下で医学的に可能であると判断した範囲において、初診から電話や情報通信機器を用いた診療により診断や処方をして差し支えないこと。
ただし、麻薬及び向精神薬の処方をしてはならないこと」 ※1とあり、「診療録等により当該患者の基礎疾患の情報が把握できない場合は、処方日数は7日間を上限とする」とともに、「特に安全管理が必要な医薬品(いわゆる「ハイリスク薬」)として、診療報酬における薬剤管理指導料の「1」の対象となる薬剤(抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤等)の処方をしてはならない」※2 と決められています。

オンライン初診診療のこうした要件がきちんと守られているかについて、8月6日の検討会では調査データをもとに検証されましたが、特に「医師が医学的に可能と判断した範囲」の適切性について議論されたようです。
なかには、基礎疾患の把握もなく、電話だけで初診の湿疹の患者さんを診療し、処方しているケースも見受けられ、要件の範囲を逸脱している可能性も指摘されています。

また、今回の検証において、電話診療やオンライン診療の患者さんには小児が多かったこともわかりました。※3
新型コロナウイルス感染症を警戒して、小児科の受診が大きく減っている現状において、やはり子どもの発熱や嘔吐、湿疹などを心配した結果、オンライン診療に対応している診療所への受診につながっているようです。

厚生労働省では、今後も電話・オンライン診療については調査を行っていく予定です。
医師に対して、初診から電話・オンライン診療であっても一定の診断を下すことが可能であったと考えられる症状、一方正確な診断が困難であったと考えられる症状、対面診療と比較してのメリット・デメリットなどについて、患者さんに対しては、なぜ初診で電話やオンライン診療を希望したのか、どんな症状ならオンライン診療でもいいと思うか、初診は対面診療を希望するのはどんな症状か、などを調査していく予定です。

コロナ禍で特例的に進められた初診の電話・オンライン診療ですが、そのリスクについては未知数です。今後もより細かい検証が必要でしょう。

(ブランディングエディター:内田朋恵)


※1※2 令和2年4月~6月の電話診療・オンライン診療の実績の検証について
 (第10回オンライン診療の適切な実施に 関する指針の見直しに関する検討会資料)

※3 検証を踏まえた当面の対応について(同上)

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