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the医院開業|開業医の家族の本音―義父のクリニックを夫が継承 義父主導の改装に

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家族の本音―義父のクリニックを夫が継承 義父主導の改装に

渡辺さん(仮名)48歳の場合


12回にわたって連載してきた「みんなの本音」シリーズも、いよいよ最終回となりました。
今回ご登場いただくのは、都内の大学病院の勤務医を辞め、地元に戻り、父が経営するクリニックを継承した医師のご家族です。
ご自身も事務長として経営に携わっているという立場からお話しをお聞きしています。


「夫が義父のクリニックを継承することは、結婚したときから聞いていましたので驚かなかったです」と渡辺さん。
義父からの設備見直しの申し出で改装することに。

夫の父は地元で40年前から開業していて、夫は大学病院に勤めていました。結婚するときに、いずれは地元に帰って義父のクリニックを継ぐつもりでいることを聞いていました。

地元に戻ってきたのは7年前です。義父が院長で夫が副院長、医療事務は義母ともう1人いて、看護師が2人という体制に私がお手伝いで加わることになりました。

しばらくは義父と夫、2人で診察をすることになりますので、診察室は最低でも2つは必要ということもあり、改装工事をすることになりました。

夫は「今回は診察室だけの最低限の改装でいい」と言ったのですが、義父は息子がクリニックを継いでくれるというので、嬉しかったのでしょうね。
診察室だけでなく、待合室や受付なども含め全面的な改装をしたいと言いだしました。夫は随分反対したのですが、夫の弟が工務店をやっているので、「安く改装ができる」と言う義父押し切られる形で、最終的に改装することにしました。

イメージ

費用は義父が出してくれるということもありましたし、私たちも引っ越し前でしたから頻繁に準備のために地元に行くことができませんでしたので、改装は義父や義弟に任せました。

義父は「大きな窓のある明るい待合室にしたい」と常々思っていたようで、そんな希望をかなえるべく、設計は義弟がしました。義弟のおかげでいろいろな部材が安価で手にはいりましたし、工賃も安くしてくれたので、改装費用はあまりかかっていません。

それでも、吹き抜けの玄関で、待合室は天井が高く全面ガラス張りの明るくて気持ちのいいクリニックができ上がりました。
私たち夫婦も、とてもいいクリニックができたことに喜び、ここで毎日働くと思うと嬉しいね、と話したものです。

ところが、診療を始めてすぐに気がついたのが、冷房を入れてもなかなか冷えないし、暖房のききも悪いことでした。
吹き抜けやガラス張りは見た目にはとてもいいのですが、冷暖房の効率という点では良くなかったですね。特に冬場の暖房費が重い負担になっています。

天井に業務用の空調機が埋め込まれているのですが、天井が高いので、部屋全体が暖まるまで時間がかかるんですよ。
光熱費はクリニックを運営している限りずっとランニングコストになりますので、最初にもう少し考えておくべきでした。

夫もしばらくして、診療室の動線に文句を言い始めました。診察室を移動する際に、義父が診察中の患者さんの前を通るため、気まずい思いをしたり、通路が狭いため看護師さんとぶつかってしまったり、診療器具をおいておく戸棚が遠かったりと、診療時にいろいろな不都合を感じたようです。

加えて、3年くらい前から問題になってきたのが、スタッフの控室です。最初、スタッフは看護師と医療事務を含め、5人だったので小さい控室で十分だったのですが、夫が院長に就任後は、徐々に若い患者さんが増え、それに伴い人手が足りなくなってきたので、少しずつスタッフを増やしたんです。

スタッフが10人を超えた頃から、控室の狭さが気になりだしました。
また受付のスペースも大きくとっていなかったので、カルテを保存しておく場所が不足してきました。
仕方ないので、昨年から、クリニックの近くのアパートの一部屋を借り、そこをカルテの保管場所やスタッフの控室として使っています。
嬉しい悲鳴ではありますが、院長の世代交代の影響がこんなにあるとは思っていませんでしたね。

現在は、義父も義母も経営から完全に退き、私たち夫婦で経営をしています。
改装は私たちがこちらに帰ってくる前のことだったので、義父や義弟に任せてしまいましたが、今思うと、私たちがもっと参加して意見を言えばよかったですね。
義弟に他のクリニックを見学してもらうこともできたし、クリニック専門のコンサルタントにお願いして設計についてのアドバイスをもらうという方法もあったね、と夫と話すこともあります。

そんな時は決まって「次の改装の時は、もう少し上手にできるよね」と笑いながら話すのですが、実際のところ改装は頻繁にできることではないですし、建物や土地の広さも限られていますから、これ以上広くするのは今の場所では難しいでしょうね。
でも、この先ずっとアパートを借り続けるのも経費としては負担です。将来的には、近隣に新しい土地を探して、移転することになるかもしれないです。

「患者さんが増え、現状の施設では十分に対応できない」「親子で継承するにあたり、全面改装し設備をみなおしたい」「バリアフリーに対応したい」など、クリニックが改装を踏み切る理由は様々です。

改装は大きな投資になるので、改装にあたっては、改装理由や現在の問題点、将来の展望など、今だけでなく先々のことも十分検討する必要がありそうです。

事務長としてスタッフの採用も担当している渡辺さん。
次回は、「最初のスタッフ採用でアドバイスをもらえたことが、とても大きかった」と話す渡辺さんに、その経緯などをお聞きします。

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