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the医院開業|医療法人化で医師のマネープランはこう変わる(その2)

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開業準備「虎の巻」お金のはなし

医師としての生涯。
歩む道の違いでいったいマネープランはどう変わるのか?

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最終回!医療法人化でこう変わる

  1. 経営内容は同じだった場合「お金」の何が個人事業主と変わるのか?具体的に比較します!

1.個人医院と医療法人の対比

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個人医院の場合、先生の事業所得が54,465,763円、奥様の専従者給与が3,816,000円
医療法人①では先生の理事長報酬が30,000,000円、奥様の理事報酬を6,000,000円
法人の所得を20,517,149円として試算してみました。

法人②では先生の理事長報酬が40,000,000円、奥様の理事報酬を12,000,000円
法人の所得を4,396,434円として試算してみました。

個人医院では先生と奥様の納税額は23,791,920円となりますが、医療法人①では15,668,600円 医療法人②となると 18,393,380となりました。どちらも税金が減った分、個人医院の場合にくらべると可処分所得(使えるお金)が増えています。

しかし、家計だけの可処分所得を比較すると、個人医院の場合33,529,843円あったものが、法人①では23,799,832円と大幅に減少してしまいますので、税的メリットばかりにとらわれるのではなく、家族のライフプランが成り立つように役員報酬を考慮する必要があります。


2.法人の場合の保険料

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さらに、個人医院では「経費処理」することができなかった生命保険も、医療法人が契約者となれば、定期保険の保険料などは、その全額または2分の1を「損金算入」することができます。

例えば、年間保険料1500万円の定期保険(1/2損金に)に加入すると、 法人税が5,195,100円から2,945,100円となります。


3.20年後の貯蓄額の違い

それではすこし乱暴で極端な前提ですが、個人と法人で20年後の貯蓄額にどのくらい差がでるか比較してみましょう。

  • 個人医院と法人①の家計可処分所得の差額を全額貯蓄した場合
    (毎年の家計支出は法人①での家計可処分所得と同額23,799,832円とする)
  • 法人①で生命保険に加入、生命保険を解約して勇退退職金を受け取った場合

個人・法人とも今後診療所の設備投資をしない設定

33,635,062-23,799,676=9,835,386円家計可処分所得の差額
20年後の貯蓄額の比較
9,835,386(毎年の貯蓄額)×20年=196,707,720円 個人医院での20年後の貯蓄額(金利は考慮せず)
15,000,000(年払保険料)×20年=300,000,000円 総払込保険料
300,000,000円 20年後の解約返戻金(返戻率100%として)
理事長退職金2億5千万円 理事退職金5千万円
250,000,000(理事長退職金)-8,000,000(退職所得控除)=242,000,000円
242,000,000×1/2×40%-2,796,000円=45,604,000円 理事長退職所得の所得税
242,000,000×1/2×0.9%=1,089,000円 理事長退職所得の住民税

250,000,000-45,604,000-1,089,000=203,307,000円

理事長手取額
50,000,000(理事退職金)-8,000,000(退職所得控除)=42,000,000円
42,000,000×1/2×40%-2,796,000円=5,604,000円 理事退職所得の所得税
42,000,000×1/2×0.9%=189,000円 理事退職所得の住民税
50,000,000-5,604,000-189,000=44,207,000円 理事手取額
2,572,049(年間法人内部留保)×20年=51,440,980円 累計法人内部留保額
個人医院での貯蓄額 < 役員退職金手取り額+法人内部留保金+公的年金UP+α
194,600,220円 < 247,514,000円 + 51,440,980円 + α

こんな計算となりましたが、退職時期やセミリタイア後の収入、貯蓄の想定金利、生命保険の返戻率・社会保険料負担・理事長報酬、理事報酬、法人所得、のバランスなどによっても全く異なる計算となり得ます。

今後、富裕層の個人の所得税の増税が噂されるなかでは、医療法人化をして、今必要なお金を役員報酬で受け取り、老後に必要なお金は医療法人で損金扱いとなる生命保険で積立をしておいて、退職金で受け取るといった施策もより重要性を増してくる一方で、繰り返される医療法人の制度改革では、より強く非営利性が求められているようです。

配当禁止の医療法人であっても過大な役員報酬や役員退職金等の手段を通じて、事実上の配当を行っているのではないかといった指摘もされているようで、今後、役員報酬や退職金に制限・制約がかけられることも懸念されています。

医療法人化すべきかについては、目先の経済合理性だけを判断材料にするのではなく、従業員の福利厚生制度や地域のニーズに応える、分院展開や訪問介護ステーションの開設など、医療法人とならなければ実現できない自院の経営方針や方向性なのかを、じっくり判断するべき時代になりつつあるように思います。


4.自分や家族の求める「生き方」の実現

お金の話では、「自分と家族のライフプランを実現させるためには」というテーマですすめてまいりました。 経済成長中心の社会から、成熟社会への劇的な大転換を迎え、生活の中心は企業から個人へと移り、多種・多様なライフプランが肯定される時代となりました。 社会に依存して同調するのではなく、一人ひとりが自立して、自己責任で自分の「暮らし方」「生き方」をデザインするのです。

「勝ち組」という表現のもと、診療収入の極大化や、自費診療の取り組みなどが取り上げられますが、何をもって「勝ち組」とみなすかは、それぞれの価値観によって異なるはずです。「標榜する診療科目は専門以外は掲げたくない」「食べるのに困らなければよい」「自分の限界を超えた数の患者さんは診たくない」という考え方もありなのです。 また、「仕事だけが生きがい」という時代は終わり、家族や仕事関係以外の友人・趣味や地域活動など多面的な生きがいを持つことが、豊かな人生を送るファクターとなってきています。

そして、自立して、自分のデザインした「生き方」を実現するためには、健康であることが前提となりますが、身体的な健康だけにとどまらず、精神的・社会的な健康を含めて健康管理をして行くことが求められます。
当然、経済的自立がなくては、自分や家族の求める「生き方」を実現させることはできず、精神的な健康も維持できません。

運用、保険、税金、社会保障、リスク管理などにも目を向けて、長期的に家計を管理していくことが求められています。

(文責)ファイナンシャルプランナー 松木祐司

執筆者紹介

松木 祐司
FPアソシエイツ&コンサルティング株式会社
ファイナンシャルプランナー
  • CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
  • 外資系損害保険会社・外資系生命保険会を経て、特定の金融機関に所属しない独立系ファイナンシャルプランナーとなる。
  • 主にドクターとご家族のライフプラン実現のための、資産運用設計、保険設計、相続対策や医院経営のリスクマネジメントに取り組む。

【著書・寄稿】
得する保険の選び方 いまこそ見直そうあなたの保険 退職金がっちり運用 他
ジャミック・ジャーナル、クリニックマガジン、日本歯科新聞、日本経済新聞、 週刊東洋経済、 週刊エコノミスト、マネージャパン、 あるじゃん 他
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