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開業準備「虎の巻」お金のはなし
医師としての生涯。
歩む道の違いでいったいマネープランはどう変わるのか?
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キャッシュフロー表の作成で、見えてくる課題・難題。さて、その解決策は?
- 「キャッシュフローの作成」
財前家の思い描いた生活はいくらかかるのか? 平均値などではなく、可能な限り具体的な金額を見積もってキャッシュフロー表を作成していきます。
自分や家族が思い描くライフプランを明確にし、それを実現するためにはいくら 収入が必要なのかをイメージするため、大学病院勤務医の財前先生(仮称)はファイナンシャルプランナーを訪ねました。
財前家のC/F表づくり
収入の推移の予測
「まずは、今後の収入の見込みをたてましょう!」担当のファイナンシャルプランナー(以下FP)の第一声でいよいよキャッシュフロー作りがはじまります。担当FPは次々に先生の状況を整理していきます。
財前先生によると現在の収入は大学病院に戻っているためここ数年で最も低いとのこと。今後の収入についても、派遣される病院によって変動が大きく、なんとも予測は難しい。先生には医局の関連病院の報酬体系や、先輩たちから情報を収集してもらった結果、40歳で1000万円、45歳で1200万円、50歳で1500万円、55歳で1600万円代に乗るがその後はほとんど増えずといった予測となりました。
60歳以降の収入については、予測不可能とのことだったので、6掛け程度で見込み、働く期間については、医師の場合、65歳で完全リタイアするとは思いませんが、65歳以降の収入は調整弁として見込まないこととしました。
その他の収入として、現在バイトの収入が約500万円あります。現在は体力的にも時間的にも、余裕があるが、何歳までバイトの収入を維持できるかはわからないとのことだったので、45歳ぐらいからは半減させて見込むことにしました。
2012年度には、その他の収入として、2人目の子供の妊娠を機に退職を予定している奥様の退職金を、就業規則の退職金規定から算定し80万円を見込みました。
支出
「収入は整理できましたね、では次に支出をみていきましょう!」
現在の生活費(毎月決まって出ていく支出)は40万円程度。 それに加えて、自動車税や冠婚葬祭・お年玉等で年間20万円の予備費を加えた、500万円が現在の年間基本生活費とのこと。 これに毎年1%の物価上昇率を見込みます。 住居費には、住宅ローン5000万円35年返済、変動金利0.875%(2016年より2%に上昇で試算)で毎月の返済額が138,240円。ボーナス併用はなし。固定資産税・修繕積立・管理費で年間65万円で、年間231万円。
基本生活費 | ||
---|---|---|
食費 | 190,000 | 食費90,000 昼食50,000 外食50,000 |
光熱費 | 15,000 | |
通信費 | 25,000 | 携帯20,000、NET5,000 |
新聞 | 5,000 | |
理・美容、化粧品 | 38,000 | 妻30,000、夫8,000 |
おこづかい | 80,000 | 夫50,000、妻30,000 |
車両費 | 25,000 | 駐車場15,000、ガソリン10,000 |
医療 | 2,000 | |
その他 | 20,000 | |
月計 | 400,000 | |
年間予備費 | 200,000 | 自動車税・冠婚葬祭・お年玉等 |
年間余暇費 | 1,000,000 | 旅行・家電・衣服・宝飾 |
教育費は2012年〜2013年が、第1子の保育園の費用で48万円。第2子の妊娠で妻は専業主婦になる予定なので、第1子は2014年から幼稚園に入園予定。第2子は保育園の費用は不要となり、2017年から3年保育の幼稚園へ入園予定。
教育費(幼稚園〜高校) | ||||||||
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幼稚園 | 初等部 | 中等部 | 高等部 | |||||
1年 | 2年〜3年 | 1年 | 2年〜6年 | 1年 | 2年〜3年 | 1年 | 2年〜3年 | |
入学金 | 350,000 | - | 300,000 | - | 320,000 | - | 320,000 | - |
授業料 | 550,000 | 550,000 | 750,000 | 750,000 | 570,000 | 570,000 | 600,000 | 600,000 |
施設設備費 | 650,000 | 0 | 250,000 | 190,000 | 230,000 | 210,000 | 160,000 | 130,000 |
その他 | 80,000 | 80,000 | 16,000 | 16,000 | 142,000 | 110,000 | 142,000 | 122,000 |
学校外教育費 | 145,000 | 145,000 | 560,000 | 560,000 | 305,000 | 305,000 | 260,000 | 260,000 |
計 | 1,775,000 | 775,000 | 1,876,000 | 1,516,000 | 1,567,000 | 1,195,000 | 1,482,000 | 1,112,000 |
合計 | 3,325,000 | 9,456,000 | 3,957,000 | 3,706,000 |
幼稚園〜高校までの教育費は、ご夫妻の母校である、私立AO学院に入学させることを前提とし、一般的な学校外教育費を加えた(バレエやアイススケート等の稽古事を始めた場合、見込んだ金額では収まらないが)。これにも1%の物価上昇率を掛けます。
「こんなに教育費はかかるものなのですね…」 現在ではAO学園は、私学の中でも最も教育費のかかる学校の一つとなり、サラリーマンの家庭で二人の子供を入学させるのは厳しいですね。
教育費(大学(国公立医学部)) | ||
---|---|---|
1年 | 2年〜6年 | |
入学金 | 282,000 | - |
授業料 | 535,800 | 535,800 |
その他 | 100,000 | 100,000 |
仕送り | 1,600,000 | 1,200,000 |
計 | 2,517,800 | 1,835,800 |
合計 | 11,696,800 |
子供達が30歳となる2040年・2043年には、結婚援助費用として、親からの援助の平均額180万円に、物価スライドをかけた金額を教育費の欄に計上することにしました。
その他の費用には、奨学金の返済と学会費を計上しました。
「余暇費には年2回の国内旅行や宝飾品、被服費、家電の買い替えなどを合わせて年間100万円を見込んで作成していきましょう」
「その他の大きな支出項目としては、車の購入費用が挙げられますが、ライフスタイルや趣味によって車種や金額が変わってくるところですが何か車についてご希望やお考えはありますか?」
「そうなんです、私たち夫婦とも車は好きでこだわりがあります。できれば欧州車のミディアムクラスや5シリーズ以上のものは乗り続けたいと考えていますが…」。
「では、買い替えサイクルはちょっと我慢をして7年毎として、下取り価格にプラス500万円の持ち出しを見込みましょう」
ファイナンシャルプランナーは先生の考えを聞きながらまずは収入と支出をそれぞれ整理し表にしました。
次回(後編)は、その収支についてキャッシュフロー分析を行った結果をご紹介します。