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開業のケーススタディ

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コスト削減と借り換えによる経営改善

第9回では、具体的に4項目のコストを見直し経営改善に成功したケースをご紹介します。 患者数も安定しスタッフをはじめ院内の雰囲気も良く、大きな問題がみあたらないクリニックですが、収支は開業から余裕がない状況が続いています。 いったいなぜでしょうか!?

全体はうまく行っていると自負していたが。。-内科クリニック紹介

患者数も安定し院内の雰囲気も良く問題ないようだが収支は開業から余裕がない状況が続いて、いったいなぜ!?

内科クリニックのケース

Iクリニックの概要

項目 内容
標榜科目 内科、呼吸器科、アレルギー科、リハビリテーション科

院長

男性 53歳

開設日

平成16年4月

所在地

郊外

クリニックの概要

テナントビル1階(50坪)、地階(25坪) 診察室2、処置室1ほか

専用駐車場

3台

交通アクセス

私鉄駅 徒歩10分

スタッフ

看護師1名、受付事務員3名(常勤)

経営形態

個人

Iクリニックの環境等

Iクリニックの立地は、東京都下の私鉄沿線の駅から徒歩で10分ほどの幹線道路沿いのテナントビル1階です。ビルは比較的新しく、外装もモダンな作りでしたが、開業7年目を迎えてやや経年変化し目立たなくなってきた感はあります。 院内は1階に診療スペース、地階にリハビリ室とスタッフルーム、院長室、倉庫の使用状況でかなりゆったりとした環境です。診療上の動線にも十分配慮された構造となっており、エレベーターの他内階段もあって患者さん・スタッフともに利用に不便はないようです。

診療スタイルは開業から一貫して「親切丁寧」を旨として行っており、患者さんからの評判は悪くありません。近隣には競合医院も少なくない状況ですが、一度来院してくれた患者さんは家族ぐるみでかかりつけとなっていただけるケースも多く、地域の患者さんに対する診療スタイルとしては多少なりとも自信があるところです。

また従業員については院長のこだわりから経験者中心に全員常勤採用としており、スタッフ側もその意を酌んで全員立場なりにまじめに勤務してくれています。患者対応に関しては開業後も折に触れ接遇などの研修を受けさせており、特段の問題はないようです。 さらに広告面に関しては、医院前の看板の他、開業時から設置している最寄り駅構内の電飾看板とホームページが寄与しているようです。また、開業から年月が経過していることから地元には一定の認知がなされていると思われます。

Iクリニックの収支状況

月間数値 直近の実績 当初事業計画
一日あたり患者数

47 人

50 人

診療単価

4,200 円

4,400 円

医業収入

440 万円

480 万円

薬品費等

28 万円

40 万円

人件費

145 万円

100 万円

家賃・リース料

100 万円

90 万円

その他経費

60 万円

40 万円

差引利益

107 万円

210 万円

借入返済

33 万円

28 万円

差引収支

74 万円

182 万円

現在の患者数は1日あたり平均で45名前後、忙しい日は60〜70名をという日もありそれなりに賑わっています。これに対して院内の体制も厚いため、処置など診療現場はスムーズに流れるようになっており、待ち時間も比較的短く済んでいます。また診療スペース、管理スペースともゆとりがあるため、繁忙期にも導線が混雑することなく対応できており、院長はクリニック全体の構造はうまくいっているとものと自負していました。

しかし収支は開業からあまり余裕がない状況が続いており、特にここ1〜2年は資金繰りが厳しくなっています。患者数の面からみるとある程度満足のいく数が確保されており、友人のクリニックの状況を聞いてみてもむしろうらやましがられる実績とも言えそうなのですが、現実にはクリニックの預金は殆ど増えず、これから子供の教育資金も必要となってくる折、どのような対応をするのが適切なのか方向性に迷う状況でした。

"もっと患者数を増やす努力をすべきなのか、その体制は・・・"と考える最中でしたが、たまたま常勤スタッフ2人から、それぞれの私的な事情により相次いで退職希望が出てきたのです。開業からのメンバーで信頼していただけにその痛手は大きく、院長の悩みはいっそう深くなりつつありました。

そのような中である勉強会で経営改善の話を聞く機会があり、そこで講師をしていた専門家に相談したところ、Iクリニックは「収入にコストが見合っていない」ことが分かってきました。そこで開業時にコンサルタントが作成した事業計画をあらためて見返してみると、収入面は100%に近い状況にあるものの、コスト全体がだいぶ多くなってしまっています。特に人件費については当初計画の1.5倍近くになっていることが、確保できる利益・資金を圧迫している大きな要因となっているようです。

総括

具体的に何からどのように手を付けたらよいのか難しいところではありましたが、支出削減が急務だと強く意識したI院長は、これを機に支出一つ一つを"仕分け"してみることを決意し、実行に踏み切ったのでした。

(文責:税理士法人アフェックス 旧 税理士法人町山合同会計)